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外壁高所のコケ落とし|足場代を払う前に!自分でやる限界と道具選びの正解

 

 

家の外壁を見上げたとき、緑色の汚れが広がっているのを見てため息をついたことはないでしょうか。

特に2階部分や屋根に近い場所など、簡単には手が届かないエリアに発生したコケは、美観を損ねるだけでなく、建物の寿命にも関わる厄介な問題です。

外壁高所のコケ落としを検討する際、多くの方が最初に悩むのは「自分で掃除できるのか、それとも業者に頼むべきなのか」という点ではないでしょうか。

ホームセンターに行けば、便利な掃除道具や強力な洗剤が数多く販売されています。

伸縮ポールやモップ、コケ取りスプレーなどを活用すれば、ある程度の高さなら自分で対処できるかもしれません。

しかし、梯子や脚立を使った作業には転落のリスクが伴いますし、間違った方法でこすると外壁材を傷めてしまう可能性もあります。

一方で、専門業者に依頼すれば安全かつ確実にきれいになりますが、費用や足場代が気になるという方も多いでしょう。

外壁高所のコケ落としは、単に汚れを落とすだけでなく、なぜコケが発生したのかという原因を知り、今後の予防策を考える良い機会でもあります。

日当たりや湿度の影響を受けやすい北側の壁、水はけの悪い環境など、コケが好む条件はさまざまです。

また、コケを放置することで外壁の塗膜が劣化し、最悪の場合は雨漏りや腐食につながる恐れもあります。

この記事では、外壁高所のコケ落としに必要な道具の選び方や安全な作業手順、さらには業者に依頼する場合の判断基準や費用相場について詳しく解説していきます。

自分で行う場合のリスクとメリット、プロに任せるべき状況をしっかりと理解し、あなたの大切な家を守るための最適な選択をしていきましょう。

正しい知識と対策で、新築のような美しい外観を取り戻すお手伝いをします。

 

この記事でわかること、ポイント

  • 外壁高所のコケ落としに役立つ伸縮ポールやモップなどの道具選び
  • 市販のコケ取りスプレーや薬剤を効果的に使用する方法
  • 家庭用高圧洗浄機を使用する際のメリットと外壁への影響
  • 塩素系漂白剤やハイターを外壁掃除に使う際のリスクと注意点
  • 梯子や脚立を使った高所作業に伴う転落事故の危険性
  • 外壁高所のコケ落としを業者に依頼する場合の費用相場と判断基準
  • コケの発生を防ぎ外壁を長持ちさせるための予防策とメンテナンス

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外壁高所のコケ落としを自分で行う方法と注意点

ポイント

  • 届かない場所には伸縮ポールやモップを活用
  • 市販のコケ取りスプレーや薬剤の選び方
  • 家庭用高圧洗浄機を使うメリットとデメリット
  • 塩素系漂白剤のハイターは外壁に使えるのか
  • 梯子や脚立を使った作業は転落のリスクがある
  • 無理にこすると外壁材を傷める可能性がある

 

届かない場所には伸縮ポールやモップを活用

建物の美観を損ねる外壁の汚れ、特に高い場所に発生してしまったコケは、見ているだけでも気になってしまうものです。

しかし、脚立を使わずに地面に立ったまま安全に作業を行いたいと考えるなら、まずは適切な道具選びから始める必要があります。

外壁高所のコケ落としにおいて、最も基本的でありながら効果的なツールといえるのが、長さを自由に調節できる伸縮ポールや、それに取り付けられる専用のモップです。

ホームセンターやネット通販では、3メートルから5メートル、長いものでは10メートル近くまで伸びる高所清掃用のポールが販売されています。

これらを活用することで、2階の窓周辺や軒下近くの外壁にもアプローチすることが可能になります。

ただし、ポールが長くなればなるほど重量が増し、先端のコントロールが難しくなる点には注意が必要です。

腕力に自信がない場合は、軽量なアルミ製やカーボン製の素材を選び、無理のない範囲で作業を行うことが重要です。

先端に取り付けるアタッチメントには、スポンジタイプ、ブラシタイプ、マイクロファイバーモップなどさまざまな種類があります。

コケの付着具合や外壁の素材に合わせて選ぶことが大切です。

例えば、凹凸の多いサイディング外壁であれば、毛足の長いブラシが隙間の汚れをかき出すのに適していますし、比較的フラットなモルタル壁であれば、スポンジやモップで優しく拭き取るのが良いでしょう。

伸縮ポールを使用する最大のメリットは、何と言っても「足場を組まずに、地上から安全に作業ができる」という点に尽きます。

梯子に登る必要がないため、転落事故のリスクを大幅に減らすことができます。

また、専門業者に依頼するほどの広範囲ではない、あるいは部分的な汚れが気になるという場合にも、手軽に取り組めるDIY手法として有効です。

コスト面でも、道具さえ揃えてしまえば数千円から一万円程度で済むため、経済的な負担も少なく済みます。

しかし、物理的な限界があることも理解しておかなければなりません。

地上からポールを伸ばして作業をする場合、どうしても壁面に対して力を入れにくくなります。

頑固にこびりついた厚いコケや、根を深く張った汚れに対しては、表面を撫でる程度の効果しか得られないこともあります。

また、真上を見上げながらの作業は首や肩への負担が大きく、長時間続けるのは困難です。

ポールの操作中にバランスを崩したり、周囲の電線や植木、隣家の車などに接触させたりしないよう、周囲の安全確認も欠かせません。

  • 軽量で操作しやすいアルミ製やカーボン製のポールを選ぶ
  • 外壁材の形状に合わせてブラシやスポンジを使い分ける
  • 電線や周囲の障害物に十分注意して作業を行う

効率よく作業を進めるためには、事前に外壁全体を水で濡らしておき、コケを柔らかくしてからブラシで擦ると効果的です。

また、ホースから水が出るタイプのポールも販売されており、これを使えば洗い流しながらの作業が可能になります。

ご自身の体力や家の状況に合わせて、最適な道具を選定してください。

 

市販のコケ取りスプレーや薬剤の選び方

物理的にこすり落とす方法と併せて検討したいのが、化学的な力で汚れを分解・除去する方法です。

市販されているコケ取りスプレーや専用の薬剤は、外壁高所のコケ落としを効率化するための強力な助っ人となります。

特に、ブラシで強くこすることが難しいデリケートな外壁材や、手が届きにくい場所に対しては、薬剤を散布して放置するだけのタイプが非常に便利です。

コケ取り剤には大きく分けて、散布後に水洗いが不要な「遅効性タイプ」と、散布して時間を置いた後に洗い流す必要がある「即効性タイプ」があります。

高所の作業においては、水洗いの手間が省ける遅効性タイプが人気です。

これは、成分がコケや藻の細胞に浸透し、数日から数週間かけて徐々に枯らしていくもので、雨水とともに自然に汚れが落ちていく仕組みになっています。

塩化ベンザルコニウムなどを主成分とした製品が多く、外壁材を傷めにくいという特徴もあります。

薬剤を選ぶ際は、必ず「外壁用」として販売されているものを選び、対象となるコケや藻に効果があるかを確認してください。

また、使用する場所の周辺環境への配慮も欠かせません。

強力な薬剤は、コケだけでなく庭の植木や花壇の花まで枯らしてしまう可能性があります。

作業前には養生シートで植物を覆ったり、あらかじめ水を撒いて薬剤の影響を薄めたりするなどの対策が必要です。

隣家との距離が近い場合は、スプレーの飛散によってトラブルにならないよう、風のない日を選んで作業を行う配慮も求められます。

薬剤の使用方法については、製品の取扱説明書を熟読し、希釈倍率や散布量を守ることが基本です。

濃度が高すぎれば外壁の変色や塗装の剥がれを招く恐れがあり、逆に薄すぎれば十分な効果が得られません。

スプレーボトルに入ったハンドスプレータイプは手軽ですが、高所へ届かせるためには、噴霧器(蓄圧式スプレー)を使用するのがおすすめです。

ノズルを長く伸ばせるタイプであれば、脚立を使わずに高い位置まで薬剤を塗布することが可能です。

  1. 製品のラベルを確認し、外壁用かつコケ対応のものを選ぶ
  2. 植栽や金属部分にかからないよう養生を行う
  3. 高所への散布にはノズル付きの噴霧器を活用する

さらに、薬剤には「予防効果」が含まれているものも多くあります。

一度きれいにした後も、定期的に散布することで新たな胞子の定着を防ぎ、長期間にわたって美観を維持することができます。

特に日当たりが悪く湿気がこもりやすい北側の壁などは、再発防止のために定期的なメンテナンスとして薬剤散布を取り入れると良いでしょう。

 

家庭用高圧洗浄機を使うメリットとデメリット

テレビ通販やホームセンターで見かける家庭用高圧洗浄機は、強力な水圧で汚れを吹き飛ばす爽快感から、外壁掃除の定番アイテムとして定着しつつあります。

外壁高所のコケ落としにおいても、その威力は魅力的です。

手作業では落としきれない細かい隙間の汚れや、広範囲に広がったコケを一気に除去できる点は、高圧洗浄機ならではの大きなメリットと言えるでしょう。

機種によっては、延長ランスや高所用のアタッチメントが用意されており、2階部分まで水流を届かせることができるものもあります。

水圧だけで汚れを剥がし取るため、ブラシでゴシゴシと擦る必要がなく、労力を大幅に削減できます。

また、薬剤を使わずに水だけで洗浄できるため、環境やペットへの影響を気にする方にとっても選択肢の一つとなります。

しかし、外壁への使用には重大なデメリットやリスクも潜んでいます。

まず理解しておくべきは、「家庭用とはいえ、水圧は非常に強力である」という事実です。

サイディングの継ぎ目にあるコーキング(シーリング)材に直撃させると、劣化してひび割れたり、断裂して内部に水が浸入したりする原因になります。

また、外壁の塗装膜が劣化している状態で高圧洗浄を行うと、汚れと一緒に必要な塗膜まで剥がれ落ちてしまい、建物の防水機能を損なう可能性があります。

高圧洗浄機を使用する際は、必ず水圧を弱めに設定し、一点に集中させないようにノズルを動かしながら洗浄することが鉄則です。

特に、通気口や換気扇のフード周り、窓のサッシ付近などは、水が逆流して室内に漏水するリスクが高いため、直接噴射は避けるべきです。

モルタル外壁の場合も、クラック(ひび割れ)がある箇所に高圧水を当てると、建物の構造内部まで水を押し込んでしまう恐れがあります。

自分の家の外壁の状態を正しく見極めることができなければ、高圧洗浄機の使用はかえって家を傷める結果になりかねません。

さらに、騒音や水しぶきの飛散といった近隣トラブルの種にもなり得ます。

汚れた水が隣の家の壁や洗濯物、車に飛び散ってしまえば、謝罪や弁償が必要になる事態にも発展します。

作業を行う際は、事前に隣家へ声をかけたり、飛散防止用のシートを設置したりするなどのマナーが求められます。

高圧洗浄機は便利な反面、扱いには高度な注意とリテラシーが必要な道具であることを忘れないでください。

高圧洗浄機使用のメリットとデメリット比較
項目 メリット デメリット・リスク
清掃能力 広範囲を一気に洗浄可能 微調整が難しくムラになりやすい
作業効率 手作業より圧倒的に早い 準備や片付け、養生に手間がかかる
外壁への影響 薬剤なしで汚れが落ちる 水圧で塗装やコーキングを破壊する恐れ
周辺環境 洗剤の残留がない 騒音や汚水の飛散で近隣トラブルの元に

 

塩素系漂白剤のハイターは外壁に使えるのか

家庭にある強力な洗剤といえば、お風呂場のカビ取りや衣類の漂白に使われる「塩素系漂白剤(ハイターやカビキラーなど)」を思い浮かべる方が多いでしょう。

「コケもカビの一種なら、ハイターで落ちるのではないか?」と考えるのは自然な発想です。

実際、塩素系漂白剤には強力な殺菌・漂白作用があり、コケや藻に対しても高い除去効果を発揮します。

これを薄めて外壁に塗布すれば、見違えるように白くなることもあります。

しかし、プロの視点から言えば、一般的な家庭用塩素系漂白剤を外壁高所のコケ落としに安易に使用することは推奨できません。

その理由は、効果が強すぎるがゆえの「副作用」にあります。

外壁の塗装や建材は、酸やアルカリに対して必ずしも強いわけではありません。

高濃度の塩素成分が付着することで、塗装面が変色したり、チョーキング現象(触ると白い粉がつく状態)を加速させたり、金属部分(サッシや雨樋の金具など)を錆びさせたりするリスクが非常に高いのです。

特に、色付きの外壁やデザイン性の高いサイディングの場合、漂白作用によって色が抜けてしまい、まだら模様のような無惨な状態になる可能性があります。

一度変色してしまった外壁は、再塗装をする以外に修復する方法がありません。

数千円のコケ落とし代を節約しようとして、数十万円から百万円単位の塗装費用が発生してしまっては本末転倒です。

どうしても塩素系の力を使いたい場合は、必ず外壁専用に調整された製品を選ぶか、目立たない場所でパッチテストを行ってから使用してください。

また、使用上の安全面でも注意が必要です。

塩素系漂白剤は酸性の洗剤(トイレ用洗剤など)と混ざると有毒な塩素ガスが発生します。

また、高い場所に向けてスプレーする場合、風に乗って自分の目や皮膚にかかる危険性もあります。

保護メガネ、ゴム手袋、マスクを着用し、肌の露出を抑えた服装で作業することは必須条件です。

環境への負荷も無視できません。

洗い流した塩素成分がそのまま土壌に染み込めば、庭木や花、芝生を枯らす原因になりますし、排水溝を通じて河川に流れ込めば環境汚染にもつながります。

外壁専用の洗剤は、洗浄力と安全性のバランスが考慮され、成分解しやすいように設計されているものが多いです。

専用品がある以上、リスクを冒してまで家庭用のハイターを流用するメリットは少ないと言えるでしょう。

 

梯子や脚立を使った作業は転落のリスクがある

伸縮ポールでも届かない、あるいはもっと近くでしっかりと汚れを落としたいと考えたとき、梯子や脚立の使用を検討することになるでしょう。

しかし、外壁高所のコケ落としにおける最大の危険は、まさにこの「高所作業」にあります。

建設現場や塗装現場においてさえ、足場からの転落・墜落は死亡事故につながる主要な原因の一つです。

ましてや、安全帯もヘルメットも着用せず、不安定な梯子に乗って作業を行う一般の方にとって、そのリスクは計り知れません。

2階の軒下やベランダの外側など、高さが3メートルを超える場所での作業は、想像以上に恐怖感を伴います。

片手で梯子を掴み、もう片方の手でブラシや洗浄機のノズルを操作する体勢は非常に不安定です。

さらに、洗浄水や洗剤によって梯子のステップや靴底が濡れれば、滑りやすさは倍増します。

バランスを崩した瞬間に受け身を取ることは不可能に近く、コンクリートの地面やフェンスの上に落下すれば、骨折や頭部強打などの重傷を負う可能性が極めて高いのです。

「自分は大丈夫」「少しの間だから」という油断が、取り返しのつかない事故を招きます。

特に、地面が平らでない場所や、砂利・土の上で梯子を使用するのは大変危険です。

梯子の足が沈み込んだり、滑ったりして転倒するケースが後を絶ちません。

アウトリガー(転倒防止器具)が付いていない一般的な梯子を使用する場合は、必ず補助者が下で支える必要がありますが、それでもリスクがゼロになるわけではありません。

また、重い高圧洗浄機のホースを引っ張り上げたり、水の反動を受けたりすることでバランスを崩すこともあります。

プロの業者がなぜ高額な費用をかけてまで「足場」を組むのか、その理由を考えてみてください。

それは作業効率のためだけでなく、何より命を守るために必要不可欠だからです。

もし、梯子を使わなければ届かないような高さのコケ落としを検討しているなら、DIYの範囲を超えていると判断し、迷わず専門業者に相談することを強くおすすめします。

  • 2メートル以上の高所作業は、ヘルメット着用などの安全対策が必須
  • 濡れた足場や梯子は滑りやすく、転落リスクが格段に上がる
  • DIYでの無理な高所作業は避け、安全をお金で買う意識を持つ

 

無理にこすると外壁材を傷める可能性がある

コケや汚れを早く落としたいという一心で、硬いブラシで力を込めてゴシゴシと擦ってしまう。

これは、外壁掃除において最もやってはいけない失敗の一つです。

外壁材の表面は、防水性や耐久性を高めるための「塗膜」で守られています。

この塗膜は非常に薄くデリケートなものであり、物理的な強い摩擦には決して強くありません。

金属製のブラシや研磨剤入りのタワシなどで強く擦ると、コケと一緒に表面の塗膜まで削り落としてしまいます。

一見すると汚れが落ちてきれいになったように見えますが、微細な傷が無数についた状態になっています。

この傷は新たなコケの胞子や汚れが入り込む絶好の足がかりとなり、掃除をする前よりも汚れが付きやすく、落ちにくい状態を作り出してしまいます。

まさに「悪循環」の始まりです。

また、サイディング外壁の場合、表面の凹凸や柄のデザインが削れてしまうこともあります。

モルタル壁のリシン吹き付けやスタッコ仕上げなどの場合も、骨材がポロポロと取れてしまうことがあります。

特に築年数が経過している外壁は、紫外線や雨風の影響ですでに塗膜が弱っていることが多いため、少しの刺激でもダメージを受けやすい状態にあります。

外壁高所のコケ落としにおいては、「完全に真っ白に戻そう」と完璧を求めすぎないことが重要です。

7割から8割程度の汚れが落ちれば十分と考え、外壁材そのものを守ることを優先してください。

柔らかい洗車用のブラシやスポンジを使い、優しく撫でるように洗うのが基本です。

もし、優しく洗っても落ちないような頑固な黒ずみや根深いコケがある場合は、それは単なる汚れではなく、外壁の劣化サインかもしれません。

無理に削り取ろうとせず、塗装の塗り替え時期が来ている可能性も考慮に入れるべきです。

さらに、高圧洗浄機の使用時にも同様のことが言えます。

至近距離から長時間同じ場所に水を当て続けると、水圧で素材表面が削れてしまいます。

コケが落ちないからといってノズルを近づけすぎるのは禁物です。

大切な家を守るための掃除が、かえって家の寿命を縮めることにならないよう、素材への優しさを常に意識して作業を行ってください。

 

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外壁高所のコケ落としを業者に依頼する費用と判断基準

ポイント

  • プロに頼むべき高さや範囲の目安
  • 専門業者によるバイオ洗浄の効果とは
  • 足場代を節約するために外壁塗装と同時に行う
  • 放置すると雨漏りや劣化の原因になる
  • コケの発生を防ぐ予防策とメンテナンス
  • 安全で確実な外壁高所のコケ落としを実現するために

 

プロに頼むべき高さや範囲の目安

ここまで自分でできる対策について触れてきましたが、現実的にはDIYでは対応しきれないケースも多々あります。

では、具体的にどの程度の状態であれば、プロの業者に依頼すべきなのでしょうか。

その判断基準を持つことは、無駄な労力や事故のリスクを回避するために非常に重要です。

まず第一の基準となるのは「高さ」です。

一般的に、脚立や伸縮ポールを使って安全に作業できる限界は、1階の屋根の高さ(約3メートル程度)までと言われています。

2階の窓より上、軒天、あるいは3階建ての建物などは、地上からの視認も難しく、適切な洗浄を行うことが物理的に困難です。

また、梯子をかけるスペースが確保できない狭小地や、隣家との境界が近い場合も、無理な作業はトラブルの元となります。

「足が地につかない作業」が必要になった時点で、プロへの依頼を検討すべきサインです。

第二の基準は「範囲」です。

一部分だけのコケならばスポット的な掃除で済みますが、壁一面が緑色に変色しているような広範囲な汚れの場合、家庭用の道具で全てを除去するのは膨大な時間と労力を要します。

ムラなくきれいに仕上げるには、業務用の機材と経験が必要です。

また、北面だけでなく東西南北すべての面を洗浄したい場合も、業者に一任した方が効率的でしょう。

そして第三の基準は「コケの状態と外壁の劣化具合」です。

コケが分厚く堆積している、黒カビと混在している、あるいは外壁のひび割れ(クラック)やチョーキングが見られる場合です。

こうした状態で素人が高圧洗浄を行うと、建物内部への浸水リスクがあります。

プロの業者は、事前の現地調査で外壁の健全性をチェックし、水圧に耐えられるか、どのような洗浄方法が最適かを判断してくれます。

単なる掃除だけでなく、建物の健康診断も兼ねて依頼すると考えれば、コストに対する納得感も高まるはずです。

 

専門業者によるバイオ洗浄の効果とは

外壁掃除を業者に依頼する場合、よく耳にするのが「バイオ洗浄」という言葉です。

これは、単なる高圧洗浄とは一線を画す、コケやカビ、藻の除去に特化した洗浄工法です。

通常の高圧洗浄が「水の勢いで表面の汚れを物理的に剥がし取る」のに対し、バイオ洗浄は「特殊な薬剤を使って菌を根元から死滅させ、分解して洗い流す」というアプローチをとります。

コケやカビは、目に見える表面だけでなく、外壁材の微細な孔の奥深くまで根(菌糸)を伸ばしています。

水だけの洗浄では、表面の緑色は落ちても菌の核が残ってしまい、条件が揃えばすぐに再発してしまうことがよくあります。

「掃除したばかりなのに、またすぐにコケが生えてきた」という経験がある方は、この根絶ができていないことが主な原因です。

バイオ洗浄で使用される薬剤は、植物性の成分を主とした安全性の高いものが多く、建材を傷めずに菌だけを狙い撃ちします。

手順としては、まず薬剤を外壁全体に散布して浸透させ、菌を浮き上がらせてから、適度な水圧で洗い流します。

これにより、コケやカビを「根こそぎ」除去できるため、洗浄後の美観が長持ちし、再発までの期間を大幅に延ばすことが可能です。

外壁高所のコケ落としにおいて、バイオ洗浄は最強のソリューションと言えます。

もちろん、通常の高圧洗浄よりも費用は割高になります。

薬剤代や工程が増える分、平米単価で数百円程度のアップとなるのが一般的です。

しかし、せっかく足場を組んで業者に依頼するのですから、中途半端な洗浄ですぐに元通りになってしまうよりは、徹底的に菌を除去しておく方が長期的にはコストパフォーマンスが良いと考えられます。

特に、湿気が多くコケが生えやすい環境の立地にある家には、強くおすすめしたい工法です。

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足場代を節約するために外壁塗装と同時に行う

業者に外壁高所のコケ落としを依頼する際、見積もりを見て驚くのが「足場代」の項目です。

外壁洗浄だけであっても、2階以上の高所作業を安全かつ確実に行うためには、建物の周囲に金属製の足場を組む必要があります。

一般的な2階建て住宅の場合、この足場代だけで15万円から20万円ほどかかることが珍しくありません。

洗浄費用そのものは数万円でも、足場代が加わることで総額が20万円、30万円と跳ね上がってしまうのです。

「たかが掃除のために足場代を払うのはもったいない」と感じるのは当然のことです。

そこで賢い選択肢となるのが、「外壁塗装とセットで依頼する」という方法です。

外壁塗装の際にも必ず足場が必要になります。

つまり、洗浄と塗装を別々の時期に行えば2回分の足場代がかかりますが、同時に行えば1回分で済むわけです。

これを「足場の有効活用」と呼びます。

そもそも、コケや藻が目立つほど発生している外壁は、新築時や前回の塗装から年数が経過し、防水機能(撥水性)が低下している証拠でもあります。

塗膜が生きていれば水を弾くため、コケの胞子が付着しても雨で流れ落ちますが、塗膜が劣化して表面がザラザラになると水分が留まりやすくなり、コケの温床となります。

つまり、コケ落としが必要な時期は、塗り替えの検討時期とも重なっている可能性が高いのです。

洗浄できれいにするだけでなく、新しい塗料で保護膜を作り直すことで、コケの再発を根本から防ぐことができます。

もし築10年以上経過していて一度もメンテナンスをしていないのであれば、単なる洗浄工事として依頼するのではなく、外壁診断を受けた上で塗装工事全体の見積もりを取ることをおすすめします。

結果的に、建物の寿命を延ばし、トータルコストを抑える最善策となるはずです。

  1. 足場代は高額なため、単独工事では割高になる傾向がある
  2. コケの発生は塗膜劣化のサインでもあるため、塗装時期と重なることが多い
  3. 洗浄と塗装を同時に行えば、足場代を一回分節約できる

 

放置すると雨漏りや劣化の原因になる

「見た目が悪いだけだから、もう少し様子を見よう」と、外壁のコケを放置してしまう方も少なくありません。

しかし、コケは単なる汚れではなく、建物にとって有害な「水分保持材」のような働きをします。

コケは常に水分を含んでおり、外壁の表面をジメジメと湿った状態に保ち続けます。

外壁材、特に日本の住宅で主流の窯業系サイディングやモルタルは、常に水に晒されることを嫌います。

常に湿潤状態にある外壁材は、昼間の乾燥と夜間の湿潤、あるいは冬場の凍結と融解を繰り返すことで、素材自体が脆くなっていきます。

これを「凍害」や「吸水劣化」と呼びます。

次第に表面の塗膜が剥がれ、細かなひび割れ(ヘアクラック)が発生し、そこからさらに内部へと水が侵入します。

このプロセスが進行すると、外壁材が反り返ったり、欠けたりするようになります。

さらに深刻なのは、外壁を突き抜けて建物内部の構造体(柱や梁)、断熱材にまで水分が達してしまうケースです。

ここまでいくと、いわゆる「雨漏り」の状態となり、シロアリの発生や木材の腐食を招きます。

こうなってからの修繕費用は、洗浄や塗装とは桁違いの金額になります。

コケの放置は、建物の「防水切れ」を加速させ、資産価値を確実に下げていきます。

また、カビの胞子が室内に入り込めば、アレルギー性鼻炎や喘息など、住人の健康被害を引き起こす可能性も否定できません。

たかがコケと侮らず、建物を守るためのSOSサインだと捉え、早めに対処することが重要です。

高所のコケが見えているということは、それ以外の場所でも見えない劣化が進行している可能性があります。

 

コケの発生を防ぐ予防策とメンテナンス

苦労してコケを落としたり、業者にきれいにしてもらったりした後は、できるだけその状態を長く保ちたいものです。

コケの再発を防ぐための予防策やメンテナンスには、いくつかの有効な手段があります。

まずは、物理的な環境改善です。

庭木の枝葉が外壁に覆いかぶさって日当たりや風通しを悪くしている場合は、剪定を行って光と風を取り込みましょう。

近隣の建物との関係で日当たりが改善できない場合でも、風の通り道を確保するだけで湿気の滞留を防ぐ効果があります。

次に、外壁そのものの性能を上げることです。

外壁塗装を行う際に、「防藻・防カビ性能」の高い塗料を選ぶことが重要です。

最近の塗料には、バイオ技術を応用して菌の繁殖を抑える成分が配合されているものが多くあります。

また、「低汚染塗料」と呼ばれる、表面が親水性(水に馴染みやすい性質)になり、雨水が汚れの下に入り込んで洗い流してくれる機能を持つ塗料も効果的です。

さらに、光触媒塗料のように、太陽光の力で汚れを分解し、雨で流すセルフクリーニング機能を持った高機能塗料もあります。

そして、定期的な点検と軽微なメンテナンスです。

コケは初期段階であれば、市販のコケ取りスプレーを撒くだけで簡単に除去できます。

大掛かりな掃除が必要になる前に、半年に一度程度は外壁をチェックし、うっすらと緑色が見え始めた段階で薬剤を塗布する習慣をつけると良いでしょう。

手の届く範囲だけでもこまめに対応することで、胞子が上部へ広がるのを防ぐことにもつながります。

家はメンテナンスフリーではありません。適切な予防と早期発見・早期対処が、美観維持の鍵です。

 

安全で確実な外壁高所のコケ落としを実現するために

外壁高所のコケ落としについて、自分で行う方法と業者に依頼する方法、それぞれの視点から解説してきました。

自分で道具を揃えて挑戦するDIY精神は素晴らしいものですが、そこには常に「安全性」と「確実性」のトレードオフが存在します。

数万円の費用を浮かせようとして、怪我をしてしまったり、家を傷めてしまったりしては元も子もありません。

特に、「2階以上の高所」「広範囲な汚れ」「外壁の劣化が見られる場合」の3点に当てはまるなら、無理をせずプロの力を借りるのが賢明な選択です。

業者は単に掃除をするだけでなく、足場による安全確保、適切な水圧管理、バイオ洗浄などの専門技術、そして近隣への配慮まで含めたトータルサービスを提供してくれます。

もし業者選びに迷ったら、まずは複数の業者から見積もりを取り(相見積もり)、作業内容や費用の内訳を比較してみてください。

「なぜその金額になるのか」「どのような手順で洗浄するのか」を丁寧に説明してくれる業者は信頼できます。

また、地元での施工実績が豊富な業者であれば、その地域の気候やコケの発生傾向についても熟知しているはずです。

外壁は家の顔であり、家族を風雨から守る盾でもあります。

その盾に付着したコケを取り除き、リフレッシュさせることは、家への感謝と愛情の表れでもあります。

ご自身の状況に合わせて最適な方法を選び、安全かつ効果的に美しい外壁を取り戻してください。

それが、長く快適に住み続けるための第一歩となるでしょう。

 

記事のまとめ

  • 外壁高所のコケ落としは安全第一で方法を選ぶことが最重要
  • 届く範囲なら伸縮ポールやモップなどの道具が有効
  • 薬剤は外壁専用を選び植物や近隣への飛散に注意する
  • 塩素系漂白剤は外壁を変色させるリスクが高いため推奨されない
  • 家庭用高圧洗浄機の水圧は外壁材やコーキングを傷める恐れがある
  • 梯子や脚立を使った2階以上の作業は転落事故の危険が高い
  • 無理にこすると塗膜を剥がし再汚染の原因を作ってしまう
  • 自分では危険と判断したら迷わず専門業者に依頼する
  • 業者選びの基準は高さ・範囲・外壁の劣化具合で判断する
  • バイオ洗浄は菌を根こそぎ除去し再発を防ぐ効果が高い
  • 足場代を節約するために外壁塗装とセットで依頼するのが賢い
  • コケの放置は美観だけでなく雨漏りや建物の寿命短縮につながる
  • 防藻・防カビ塗料や光触媒塗料での予防メンテナンスが効果的
  • 定期的な点検と早期の薬剤散布で大掛かりな掃除を防げる
  • 大切な家を守るためプロの技術と知識を適切に活用しよう

 

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-不安解消・メモ
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