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鉄骨造増築とエキスパンションジョイント|費用・申請・注意点を解説

※画像はイメージです

 

 

鉄骨造の建物を増築する際、多くの方が直面する専門的な課題の一つに、エキスパンションジョイントの設置が挙げられます。

このキーワードで検索されたあなたは、おそらくご自身の所有する建物の増築を計画中か、あるいは設計・施工に携わる方で、鉄骨造の増築におけるエキスパンションジョイントの必要性や具体的な工法、そしてそれに伴う法的な手続きや費用について、正確な情報を求めているのではないでしょうか。

鉄骨造の増築は、単に建物を広くするだけの単純な工事ではありません。

特に、既存の建物と新しい増築部分をどのようにつなぐかは、建物の安全性や将来の資産価値を大きく左右する重要なポイントです。

地震大国である日本において、建物の耐震性をいかに確保するかは最優先で考えるべき課題であり、エキスパンションジョイントはそのための鍵となる技術なのです。

しかし、その役割や構造、RC造との違い、さらには適切なクリアランスの確保、増築に伴う既存不適格の問題、渡り廊下のような特殊な接続方法など、専門的な知識が求められる場面が多々あります。

また、増築には確認申請という法的な手続きが不可欠であり、そのプロセスや、最終的にエキスパンションジョイントの設置にどれくらいの費用がかかるのかも、計画を進める上で非常に気になるところでしょう。

この記事では、そうした鉄骨造の増築 エキスパンションジョイントに関するあらゆる疑問や不安を解消するために、必要な情報を網羅的かつ分かりやすく解説していきます。

エキスパンションジョイントの基本的な役割から、具体的な構造、法律上の注意点、コスト感まで、専門的な内容を一つひとつ丁寧に紐解いていきますので、ぜひ最後までご覧いただき、あなたのプロジェクトを成功に導くための一助としてください。

 

この記事でわかること、ポイント

  • 鉄骨造の増築でエキスパンションジョイントがなぜ不可欠なのか
  • 地震や温度変化から建物を守るエキスパンションジョイントの構造
  • 鉄骨造とRC造での増築における考え方の違い
  • 建物の安全を左右するクリアランス(隙間)の重要性
  • 増築時に注意すべき既存不適格建築物の問題点
  • エキスパンションジョイントの設置にかかる費用の目安
  • 増築工事に必須の確認申請手続きの流れとポイント

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もくじ

鉄骨造の増築でエキスパンションジョイントが重要な理由

ポイント

  • エキスパンションジョイントの基本的な役割とは
  • 地震時の挙動を吸収するエキスパンションジョイントの構造
  • RC造との違いで見る鉄骨造の特性
  • 鉄骨造の耐震性を確保するクリアランスの考え方
  • 増築で発生しうる既存不適格のリスク

 

エキスパンションジョイントの基本的な役割とは

鉄骨造の増築を計画する上で、エキスパンションジョイントという言葉を耳にすることがあるかもしれません。

これは、既存の建物と新たに増築する部分を物理的に「分離」するための重要な部材、あるいは工法のことを指します。

一見すると、建物を一体化させずに隙間を設けるのは不思議に思えるかもしれませんが、これには建物の安全性を長期的に維持するための明確な理由が存在するのです。

エキスパンションジョイントの最も基本的な役割は、異なる動きをする二つの構造体を干渉させないことにあります。

建物は、私たちが感じないレベルで常に微細な動きを繰り返しています。

その動きの主な原因は、大きく分けて三つ挙げられます。

  1. 地震による揺れ
  2. 温度変化による材料の伸縮
  3. 不同沈下

まず、地震が発生した際、既存の建物と増築部分はそれぞれ異なる周期で揺れようとします。

もし、この二つが完全に一体化(剛接合)されていると、揺れ方の違いから接続部分に巨大なストレスが集中し、ひび割れや最悪の場合には倒壊につながる恐れがあるのです。

次に、温度変化です。

建築材料、特に鉄骨は、夏の暑さで膨張し、冬の寒さで収縮します。

建物全体が長大になると、この伸縮による動きも無視できない大きさになります。

エキスパンションジョイントは、この伸縮を吸収し、建物全体に歪みが生じるのを防ぐ緩衝材としての役割を果たします。

そして、不同沈下も重要な要素です。

特に、建設時期が異なる既存部分と増築部分では、地盤への荷重のかかり方や時間の経過が違うため、地盤が不均一に沈下(不同沈下)することがあります。

エキスパンションジョイントは、このわずかな沈下の差を吸収し、建物に無理な力がかかるのを防ぎます。

これらの役割をまとめると、エキスパンションジョイントは「縁を切る」ことで建物を守るための仕組みと言えるでしょう。

異なる構造、異なる揺れ方、異なる挙動を持つ建物をあえて分離することで、お互いが干渉し合って損傷することを防ぎ、それぞれの構造体が独立して安全性を保てるようにするのです。

したがって、鉄骨造の増築 エキスパンションジョイントは、単なる隙間ではなく、建物の安全性と耐久性を確保するために不可欠な設計上の配慮であると理解することが重要です。

 

地震時の挙動を吸収するエキスパンションジョイントの構造

エキスパンションジョイントが地震時に建物を守る重要な役割を果たすことは前述の通りですが、その機能は具体的な「構造」によって支えられています。

単に隙間を設けるだけでなく、その隙間をいかに機能的に、そして安全に保つかが設計の鍵となります。

エキスパンションジョイントの構造は、大きく分けて「クリアランスの確保」と「ジョイント部分の仕上げ」の二つの要素で構成されます。

クリアランスの確保

クリアランスとは、既存建物と増築部分との間に設けられる隙間の寸法のことです。

この隙間が、地震時にそれぞれの建物が揺れてもお互いに衝突しないための安全マージンとなります。

クリアランスの幅は、建築基準法で定められており、建物の高さや構造、揺れの大きさを想定して計算されます。

具体的には、それぞれの建物の最上階の揺れ幅(層間変形角などを基に算出)を合計した数値以上のクリアランスを確保する必要があります。

例えば、既存建物が地震時に5cm揺れ、増築部分が6cm揺れると想定される場合、最低でも11cmのクリアランスが必要になる、という考え方です。

この計算を誤り、クリアランスが不足していると、地震時に建物同士が衝突(パウンディング)し、大きな損傷を引き起こす原因となります。

ジョイント部分の仕上げ

クリアランスを確保しただけでは、建物内外の連続性が失われ、雨漏りの原因になったり、人が通行できなかったりといった問題が生じます。

そこで、この隙間を機能的に覆うための仕上げ材が必要になります。

これがエキスパンションジョイントカバーです。

このカバーは、地震時の大きな動きに追従できる性能が求められます。

  • 床用カバー: 人や台車が安全に通行できるよう、平滑性を保ちつつ、地震時にはスライドして建物の動きを吸収する構造になっています。滑り止め加工が施されているものも多くあります。
  • 壁用・天井用カバー: 地震時の動きに追従し、剥がれや落下が起きにくい構造が求められます。また、建物のデザイン性を損なわないよう、意匠性にも配慮された製品が多くあります。
  • 屋根用カバー: 最も重要なのは防水性能です。建物の動きに追従しながらも、雨水の浸入を確実に防ぐための複雑な構造(止水材やドレンなど)を持っています。

これらのカバー内部には、防水性を確保するための止水材や、耐火性能が求められる区画では耐火材が充填されることもあります。

このように、エキスパンションジョイントの構造は、地震時に建物の衝突を防ぐための「クリアランス」と、その隙間を機能的に埋めるための「カバー」から成り立っています。

これらが一体となって初めて、建物の安全性を損なうことなく、異なる構造体を接続するという目的を達成できるのです。

鉄骨造の増築 エキスパンションジョイントの設計においては、これらの構造を正確に理解し、建物の特性に応じた適切な製品と構法を選定することが極めて重要となります。

 

RC造との違いで見る鉄骨造の特性

建物の増築を考える際、その構造が鉄骨造(S造)か、あるいは鉄筋コンクリート造(RC造)かによって、設計上の考慮点は大きく異なります。

特に、鉄骨造の増築 エキスパンションジョイントの必要性を理解するためには、RC造と比較して鉄骨造が持つ独自の特性を把握しておくことが有効です。

両者の最も大きな違いは、「重さ」と「しなやかさ」にあります。

建物の重量と地震時の揺れ方

RC造は、その名の通りコンクリートを主材料とするため、非常に重い構造です。

建物が重いということは、地震の揺れを受けた際に発生する慣性力(揺れに抵抗しようとする力)が大きくなることを意味します。

そのため、揺れの周期は比較的短く、ドッシリとした揺れ方をします。

一方、鉄骨造はRC造に比べて格段に軽量です。

主要な構造部材が鉄骨であるため、建物全体の重量を軽く作ることができます。

建物が軽いと、地震時に受ける慣性力は小さくなりますが、その代わりに揺れの周期は長くなり、柳のようにしなやかに揺れる特性があります。

この「揺れ方の違い」が、増築において重要になります。

例えば、既存がRC造で増築部が鉄骨造の場合、地震が来ると両者は全く異なるリズムで揺れ始めます。

もしエキスパンションジョイントで分離されていなければ、お互いの揺れがぶつかり合い、接続部に甚大な被害をもたらすことは想像に難くありません。

これは鉄骨造同士の増築でも同様で、建物の規模や形状が異なれば揺れの周期も変わるため、分離することが原則となります。

構造のしなやかさ(靭性)

鉄骨造のもう一つの大きな特性は、その材料である鉄が持つ「靭性(じんせい)」、つまり粘り強さです。

鉄は大きな力が加わっても、すぐには破壊されずに変形することでエネルギーを吸収する能力に長けています。

このしなやかさが、地震のエネルギーを吸収し、建物の倒壊を防ぐ上で非常に有利に働きます。

RC造も鉄筋によって補強されていますが、主材料のコンクリートは圧縮には強いものの、引っ張る力には弱く、ある点を超えると急に破壊が進む(脆性破壊)可能性があります。

この鉄骨造のしなやかさは、エキスパンションジョイントの設計においても考慮されます。

大きく変形することを前提としているため、その変形量を吸収できるだけの十分なクリアランスが必要不可欠なのです。

鉄骨造とRC造の比較表

以下に、両者の特性をまとめます。

項目 鉄骨造(S造) 鉄筋コンクリート造(RC造)
重量 軽い 重い
地震時の揺れ 周期が長く、しなやかに大きく揺れる 周期が短く、ドッシリと揺れる
材料特性 靭性(粘り強さ)が高い 圧縮に強いが、脆性的な側面も持つ
増築時の接合 揺れ方が異なるためエキスパンションジョイントによる分離が原則 構造計算により一体化も検討されるが、分離が基本

このように、鉄骨造は軽量でしなやかであるという優れた特性を持つ一方で、その特性ゆえに地震時には大きく揺れることを前提とした設計が求められます。

鉄骨造の増築 エキスパンションジョイントは、この「大きく揺れる」という特性に対応し、建物全体の安全性を確保するために不可欠な要素なのです。

 

鉄骨造の耐震性を確保するクリアランスの考え方

鉄骨造の増築においてエキスパンションジョイントを設ける際、その性能を決定づける最も重要な要素が「クリアランス」です。

クリアランスとは、前述の通り、既存の建物と増築する建物の間に設ける物理的な「隙間」の寸法を指します。

この隙間が、それぞれの建物が地震時に自由に揺れるための「遊び」となり、建物同士の衝突(パウンディング現象)を防ぎます。

では、このクリアランスはどのように決定されるのでしょうか。

それは、感覚や経験で決められるものではなく、建築基準法および構造計算に基づいて論理的に算出されるものです。

クリアランスの基本的な計算方法

建築基準法施行令第82条の2では、隣接する建築物との間に設けるべき隙間について規定されています。

エキスパンションジョイントにおけるクリアランスの考え方もこれに準じます。

非常に簡略化して説明すると、クリアランスの幅(W)は以下の式で表せます。

W ≥ δ1 + δ2

ここで、

  • W: 必要なクリアランス幅
  • δ1: 既存建物の地震時における最大変形量(揺れ幅)
  • δ2: 増築建物の地震時における最大変形量(揺れ幅)

つまり、地震が起きたときに、既存の建物と増築部分がそれぞれ最も大きく揺れたとしても、お互いにぶつからないだけの距離を確保しなさい、というのが基本的な考え方です。

この変形量(δ1, δ2)は、建物の高さ、構造種別、剛性(固さ)、地盤の種類などを考慮した複雑な構造計算(保有水平耐力計算など)によって算出されます。

一般的に、建物は高層階になるほど揺れ幅が大きくなるため、クリアランスも建物の高さに比例して広く取る必要があります。

なぜ十分なクリアランスが重要なのか

もしクリアランスが不十分だった場合、何が起こるのでしょうか。

大地震が発生した際、計算された変形量を超えて建物が揺れ、既存部分と増築部分が激しく衝突します。

この現象を「パウンディング」と呼びます。

パウンディングが発生すると、以下のような深刻な被害を引き起こす可能性があります。

  1. 構造体の損傷: 柱や梁といった建物の骨格部分が直接衝突し、座屈や破断を引き起こす。
  2. 非構造部材の破壊: 外壁材の落下、窓ガラスの破損、内装材の脱落などを引き起こし、避難経路を塞いだり、二次災害を誘発したりする。
  3. 建物全体の挙動変化: 衝突によって本来の設計とは異なる力が建物に加わり、予期せぬ部分に損傷が拡大し、最悪の場合は倒壊に至る。

特に、階高が異なる建物同士が増築で接続されている場合、一方の建物の床(剛性が高い)が、もう一方の建物の柱の中間部分(剛性が低い)に衝突するケースは非常に危険です。

これは柱のせん断破壊を誘発しやすく、建物の崩壊に直結する可能性があります。

このように、鉄骨造の耐震性を確保する上で、適切なクリアランスを設けることは絶対条件です。

それは単なる隙間ではなく、大地震という非常事態において、建物と人命を守るための命綱とも言える設計上の配慮なのです。

鉄骨造の増築 エキスパンションジョイントの計画においては、信頼できる構造設計者による正確な計算に基づき、法規を遵守した十分なクリアランスを確保することが何よりも優先されます。

 

増築で発生しうる既存不適格のリスク

鉄骨造の増築を行う際、技術的な問題と並行して注意しなければならないのが、法的な問題、特に「既存不適格」のリスクです。

既存不適格とは、建物が建設された当時は適法であったものの、その後の法改正(建築基準法や消防法など)によって、現行の法律の基準に適合しなくなってしまった状態の建築物を指します。

この既存不適格建築物は、そのまま使用し続ける分には問題ありませんが、増築や大規模な改修を行おうとすると、大きな制約を受けることになります。

なぜ増築で既存不適格が問題になるのか

原則として、建築基準法では増築を行う場合、既存の建物部分も含めて、建物全体が現行の法規に適合している状態(適法化)に改修することが求められます。

これを「既存不適格の是正」と呼びます。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 耐震基準: 1981年(昭和56年)6月1日以前の旧耐震基準で建てられた鉄骨造の建物。増築を機に、現行の新耐震基準を満たすための耐震補強工事が必要になる場合があります。
  • 防火・避難規定: 廊下の幅や階段の仕様、防火区画の設置などが現行法規を満たしていない場合、増築部分だけでなく既存部分の改修も求められることがあります。
  • 建ぺい率・容積率: 建設当時は適法でも、都市計画の変更などで建ぺい率や容積率がオーバーしている場合、増築が認められない可能性があります。

鉄骨造の増築でエキスパンションジョイントを用いる場合、法的には既存棟と増築棟を「別の建物」として扱うことが基本となります。

これにより、既存不適格の是正範囲を限定できる可能性がありますが、それでも接続部分の防火区画の扱いや、敷地全体の法規(建ぺい率など)は一体で評価されるため、問題が完全に解消されるわけではありません。

既存不適格のリスクと対策

この既存不適格の問題を軽視して増築計画を進めると、以下のようなリスクに直面します。

  1. 予期せぬ追加工事と費用の発生: 確認申請の段階で是正を求められ、耐震補強や防火改修など、当初の計画にはなかった大規模な工事と、それに伴う高額な費用が発生する。
  2. 計画の大幅な変更・遅延: 是正工事の設計や施工に時間がかかり、増築全体のスケジュールが大幅に遅れる。
  3. 最悪の場合、増築自体が不可能に: 法的な制約や是正コストの問題で、計画していた増築そのものを断念せざるを得なくなる。

このようなリスクを避けるためには、増築の計画初期段階で、専門家(建築士)による徹底した法規チェックが不可欠です。

建設時の確認済証や検査済証、設計図書などを基に、既存建物がどの時代の法規で建てられ、現行法規に対してどのような不適格事項があるのかを正確に洗い出します。

その上で、エキスパンションジョイントを用いて構造的に分離する方法を含め、どのような増築計画であれば既存不適格の是正義務を最小限に抑えられるか、あるいは是正に必要なコストはどの程度かを見極める必要があります。

鉄骨造の増築は、単に物理的なスペースを広げるだけでなく、法的な条件をクリアする知的なパズルの一面も持っています。

既存不適格のリスクを事前に把握し、対策を講じることが、プロジェクトを円滑に進めるための重要な鍵となるのです。

 

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鉄骨造の増築でのエキスパンションジョイントの計画と注意点

ポイント

  • 渡り廊下など接続部の設計ポイント
  • 目的で選ぶエキスパンションジョイントの種類
  • 増築工事における確認申請のプロセス
  • 事前に把握すべきエキスパンションジョイントの費用
  • まとめ:安全な鉄骨造の増築 エキスパンションジョイント計画を

 

渡り廊下など接続部の設計ポイント

鉄骨造の増築において、既存の建物と新しい建物を結ぶ「渡り廊下」は、エキスパンションジョイントの技術が活かされる典型的な例です。

渡り廊下は、二つの独立した建物の動線を確保するための重要な接続部分ですが、その設計には特有の注意点が求められます。

なぜなら、渡り廊下の両端は、それぞれ異なる挙動をする建物に接続されるため、地震時には非常に複雑な動きを強いられるからです。

渡り廊下の設計における最大のポイントは、両端の接続方法です。

基本的には、一方の端を建物に固定し(ピン接合や固定接合)、もう一方の端を自由に動けるようにする(スライド接合)のが一般的です。

スライド接合の重要性

スライド接合は、渡り廊下の端が、地震による建物の揺れ(水平方向の動き)に合わせて滑らかに移動できるようにする仕組みです。

これにより、二つの建物が異なる方向に揺れても、渡り廊下が引っ張られたり、圧縮されたりして破壊されるのを防ぎます。

このスライドする部分こそが、まさにエキスパンションジョイントの機能そのものです。

スライド部分には、地震時に想定される最大の変位量を吸収できるだけの十分な「可動域」を確保する必要があります。

この可動域の計算は、接続される二つの建物の構造、高さ、そして相互の距離などを基に行われます。

その他の設計ポイント

渡り廊下の設計では、スライド接合以外にも考慮すべき点が多数あります。

  • 上下方向の動きへの追従: 地震時には水平方向だけでなく、上下方向にも揺れが生じます。渡り廊下の接続部は、この上下の動きにも追従できるような柔軟な構造(例:ロッキング機構)にしておく必要があります。
  • ねじれへの対応: 二つの建物が複雑に揺れると、渡り廊下には「ねじれ」の力も加わります。このねじれを吸収できるような構造設計も重要です。
  • 防水と仕上げ: スライドするエキスパンションジョイント部分は、雨漏りの弱点になりやすい箇所です。防水性に優れた専用のカバー材を選定し、確実な施工を行うことが不可欠です。また、床面には段差が生じないようにし、安全な歩行を確保することも求められます。
  • 法的な扱い: 渡り廊下が一定の条件(屋根・壁があるなど)を満たす場合、建築基準法上の「建築物」とみなされ、床面積に算入されたり、防火上の規定を受けたりします。エキスパンションジョイントで接続されている場合でも、法的な扱いについては行政との事前協議が重要になります。

渡り廊下は単なる通路ではなく、二つの建物の複雑な動きを吸収するための高度なエンジニアリングが詰め込まれた装置と考えるべきです。

特に鉄骨造の増築 エキスパンションジョイントを伴う渡り廊下の計画では、構造設計の専門家による詳細な検討が不可欠です。

それぞれの建物の特性を正確に把握し、地震時に渡り廊下がどのように動くかをシミュレーションした上で、最適な接続方法とエキスパンションジョイントの種類を選定することが、安全で機能的な渡り廊下を実現するための鍵となります。

 

目的で選ぶエキスパンションジョイントの種類

エキスパンションジョイントと一言で言っても、その種類は多岐にわたります。

建物のどの部分に使用するのか、どのような性能が求められるのか、そしてデザイン上の要求は何か、といった目的によって最適な製品を選ぶ必要があります。

ここでは、鉄骨造の増築で主に使用されるエキスパンションジョイントカバーの種類を、設置場所ごとに解説します。

1. 床用(フロアジョイント)

人が歩行したり、台車が通行したりする床面に設置されるため、安全性と耐久性が最も重視されます。

  1. 歩行用: 一般的な廊下や室内に使用されます。表面がフラットで段差が少なく、滑りにくい仕上げになっているのが特徴です。アルミ製やステンレス製が主流です。
  2. 重量物用(ヘビーデューティータイプ): 倉庫や工場、駐車場など、フォークリフトやトラックのような重い車両が通行する場所に設置されます。非常に頑丈な鋼材で作られており、大きな荷重に耐えられる構造になっています。
  3. バリアフリー対応型: 車椅子やストレッチャーの通行を考慮し、段差を極限までなくしたタイプです。病院や福祉施設などで採用されます。

2. 壁・天井用(ウォール・シーリングジョイント)

人の目に触れやすい場所であるため、機能性に加えて意匠性(デザイン)が重要になります。

  • スライドタイプ: パネルがスライドすることで建物の動きを吸収する、最も一般的なタイプです。壁や天井の仕上げ材と色や質感を合わせられる製品が多くあります。
  • メンブレンタイプ: ゴムや樹脂製のシート状の部材でジョイントを覆うタイプです。凹凸が少なく、スッキリとした意匠に仕上がります。
  • 耐火タイプ: 防火区画を貫通する壁や天井に設置されるもので、火災時に炎や煙の延焼を防ぐための耐火材が組み込まれています。法律で定められた耐火性能(例:1時間耐火)を満たす必要があります。

3. 屋根用(ルーフジョイント)

建物の最上部で風雨に直接さらされるため、最も高い防水性能が求められます。

屋根からの漏水は建物全体に深刻なダメージを与えるため、製品選定と施工は特に慎重に行う必要があります。

一般的には、金属製のカバーと、その下に設置される止水材(ゴムシートなど)の二重構造で防水性を確保します。

また、屋根に溜まった雨水を適切に排水するためのドレン機構が一体となっている製品もあります。

選定のポイント

これらの種類の中から最適なものを選ぶには、以下の点を総合的に検討する必要があります。

まず第一に、構造計算によって算出されたクリアランス幅と、想定される変位量(可動量)に対応できる製品であることが大前提です。

その上で、設置場所に応じた耐荷重、防水性、耐火性、意匠性といった要求性能を満たすものを選んでいきます。

鉄骨造の増築 エキスパンションジョイントの計画では、これらの多様な選択肢の中から、建物の用途や設計思想に合致した製品を、カタログスペックだけでなく実績や施工性も考慮して選定することが、建物の品質を左右する重要なプロセスとなります。

 

増築工事における確認申請のプロセス

鉄骨造の増築工事を行うことは、単に建物を物理的に大きくするだけでなく、建築基準法に基づく厳格な法的手続きをクリアすることを意味します。

その中心となるのが「建築確認申請」です。

この手続きを怠ったり、不備があったりすると、工事の中断や是正命令、最悪の場合は建物の使用停止といった事態になりかねません。

エキスパンションジョイントを用いた増築工事も例外ではなく、むしろ構造的に複雑になるため、より慎重なプロセスが求められます。

建築確認申請とは?

建築確認申請とは、計画している建築工事が、建築基準法や関連法規(消防法、都市計画法など)に適合しているかどうかを、工事着手前に建築主事または指定確認検査機関に審査してもらうための手続きです。

この審査に合格し、「確認済証」の交付を受けて初めて、工事を開始することができます。

増築の場合、防火地域・準防火地域外での10平方メートル以下の小規模なものを除き、原則としてすべてのケースで確認申請が必要です。

確認申請の基本的な流れ

鉄骨造の増築における確認申請のプロセスは、一般的に以下の流れで進められます。

  1. 事前調査・企画設計: まず建築士が、既存建物の法適合性(特に既存不適格の有無)や、敷地に関する法規制(用途地域、建ぺい率、容積率など)を徹底的に調査します。この段階で、増築の規模やおおよその計画を固めます。
  2. 基本設計: 事前調査の結果を踏まえ、具体的な建物の配置、平面、立面、そして構造計画(エキスパンションジョイントの仕様を含む)などを決定し、基本設計図書を作成します。
  3. 実施設計・申請図書の作成: 基本設計に基づき、工事に必要な詳細な図面(意匠図、構造図、設備図など)や、構造計算書、各種計算書など、確認申請に必要な一式の書類を作成します。鉄骨造の増築 エキスパンションジョイントの計画では、既存棟と増築棟それぞれの構造計算書、および両者の関係性を示す図面が特に重要になります。
  4. 確認申請の提出: 作成した申請図書を、管轄の特定行政庁(市役所など)や民間の指定確認検査機関に提出します。
  5. 審査・質疑応答: 提出された書類を基に、審査が行われます。審査の過程で、図面の不整合や計算の誤りなどについて、質疑や補正指示が出されることがあります。建築士はこれに的確に対応する必要があります。
  6. 確認済証の交付: すべての審査が完了し、計画が法規に適合していると認められると、「確認済証」が交付されます。
  7. 工事着工: 確認済証の交付を受けて、ようやく工事を開始できます。

特にエキスパンションジョイントを用いる場合、審査では「既存棟と増築棟を構造的に分離した、別棟としての扱いが適切か」「クリアランスは十分に確保されているか」「防火区画の処理は万全か」といった点が厳しくチェックされます。

これらの点を構造計算書や図面で明確に説明できなければ、審査が長引いたり、計画の変更を求められたりする原因となります。

確認申請は、安全な建物を建てるための社会的な約束事です。

このプロセスを円滑に進めるためには、増築に関する法規や実務に精通した、経験豊富な建築士に依頼することが不可欠と言えるでしょう。

 

事前に把握すべきエキスパンションジョイントの費用

鉄骨造の増築を計画する上で、施主様にとって最も関心の高い事項の一つが、やはり「費用」ではないでしょうか。

特に、専門的な部材であるエキスパンションジョイントは、一体どのくらいのコストがかかるのか、見当がつきにくい部分かもしれません。

エキスパンションジョイントの費用は、様々な要因によって大きく変動するため、一概に「いくら」と言うのは困難ですが、その費用を構成する要素を理解することで、より正確なコスト感を把握することができます。

エキスパンションジョイントの費用を構成する要素

費用は、大きく「材料費」と「工事費」に分けられます。

1. 材料費(製品本体の価格)

これは、エキスパンションジョイントカバーそのものの価格です。

材料費を左右する主な要因は以下の通りです。

  • 設置場所: 床用、壁用、屋根用など、用途によって製品の構造が異なり、価格も変わります。一般的に、高い防水性能が求められる屋根用は高価になる傾向があります。
  • クリアランス幅: 対応するクリアランスが広いほど、製品も大型になり、価格は上昇します。
  • 性能: 耐火性能や高い耐荷重性能、特殊な防水性能などが付加されると、標準的な製品に比べて価格は高くなります。
  • 材質・仕上げ: ステンレス製はアルミ製よりも高価であり、特殊な塗装や仕上げを施す場合もコストアップの要因となります。

目安として、一般的な歩行用の床用エキスパンションジョイント(アルミ製、クリアランス100mm程度)で、1メートルあたり数万円から十数万円程度が材料費の相場感となりますが、これはあくまで参考値です。

2. 工事費(取り付けにかかる費用)

製品を取り付けるための施工費です。これには以下の要素が含まれます。

  1. 施工手間: 製品の取り付け自体の手間賃です。製品の複雑さや、施工の難易度によって変動します。
  2. 下地処理費: エキスパンションジョイントを正確かつ強固に取り付けるためには、下地となるコンクリートや鉄骨の精度が重要です。下地の精度が悪い場合、調整や補修のための追加費用が発生します。
  3. 付帯工事費: 特に屋根用の場合、防水工事と一体で施工されるため、周辺の防水処理費用も含まれます。耐火タイプの場合は、耐火材の充填費用なども必要です。
  4. 諸経費: 現場管理費や運搬費、足場の設置費用なども全体のコストに影響します。

トータルコストを把握するために

重要なのは、材料費だけでなく、これらの工事費を含めたトータルのコストで判断することです。

また、鉄骨造の増築 エキスパンションジョイントの費用は、増築プロジェクト全体から見れば一部に過ぎません。

既存不適格の是正に伴う耐震補強工事や、内装・設備工事など、他の部分で大きな費用が発生する可能性も十分にあります。

正確な費用を把握するためには、設計の初期段階で建築士や施工会社に相談し、詳細な見積もりを取得することが不可欠です。

その際には、複数の製品を比較検討したり、仕様を見直したりすることで、コストを最適化する余地も生まれます。

初期投資を惜しまず、建物の安全と耐久性に直結するエキスパンションジョイントに適切なコストをかけることが、長期的な視点で見れば最も賢明な選択と言えるでしょう。

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まとめ:安全な鉄骨造の増築には綿密なエキスパンションジョイント計画を

これまで、鉄骨造の増築におけるエキスパンションジョイントの重要性、その役割や構造、そして計画から費用に至るまでの様々な側面を解説してきました。

鉄骨造の増築は、単に建物を物理的に拡張する行為ではなく、既存の建物と新しい建物の双方の安全性を未来にわたって確保するための、極めて専門的な技術と知識が求められるプロジェクトです。

その中心的な役割を担うのが、まさにエキスパンションジョイントに他なりません。

地震の揺れ、温度による伸縮、地盤の不同沈下といった、建物が常にさらされている様々な外部からの力。

これらの力を巧みに受け流し、建物同士が互いに干渉し合って損傷することを防ぐ「縁の下の力持ち」、それがエキスパンションジョイントです。

その計画には、正確な構造計算に基づくクリアランスの確保、建物の用途や性能に応じた適切な種類の選定、そして既存不適格や確認申請といった法的な要件のクリアなど、多岐にわたる課題が伴います。

渡り廊下のような具体的な接続部の設計から、目に見えない費用や法規の問題まで、一つひとつの要素を丁寧かつ確実にクリアしていくことが、プロジェクトの成功には不可欠です。

安全な鉄骨造の増築 エキスパンションジョイント計画を実現するためには、信頼できる専門家、すなわち経験豊富な建築士や施工会社との連携が何よりも重要となります。

彼らは、あなたの建物の状況を的確に診断し、法的な制約の中で最適な解決策を提案してくれるはずです。

本記事で得た知識を基に、専門家と対等な立場でコミュニケーションを取り、疑問点を解消しながら、納得のいく形で計画を進めていってください。

それが、あなたの貴重な資産である建物の価値をさらに高め、長期にわたって安心して利用できる空間を創造するための、最も確実な道筋となるでしょう。

 

記事のまとめ

  • 鉄骨造の増築ではエキスパンションジョイントによる分離が基本
  • 主な役割は地震動や温度変化、不同沈下を吸収すること
  • 既存建物と増築部の衝突(パウンディング)を防ぎ安全を確保する
  • 構造はクリアランス(隙間)とカバー材で構成される
  • クリアランス幅は構造計算に基づき法的に定められる
  • 鉄骨造はRC造より軽量でしなやかに揺れる特性を持つ
  • その揺れの特性から十分なクリアランスが不可欠となる
  • 増築を機に既存不適格の是正を求められるリスクがある
  • 渡り廊下の設計では片側をスライド接合にするのが一般的
  • ジョイントの種類は床用・壁用・屋根用など用途別に選ぶ
  • 性能(耐火・耐荷重)や意匠性も選定の重要な要素
  • 増築には原則として建築確認申請が必要不可欠
  • 確認申請では構造の安全性や法適合性が厳しく審査される
  • 費用は材料費と工事費からなり仕様によって大きく変動する
  • 安全な鉄骨造の増築 エキスパンションジョイント計画には専門家との連携が必須

 

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