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古民家のカーテン選びと寒さ対策!レトロでおしゃれな空間づくり

この記事でわかること、ポイント

  • 古民家の雰囲気に合う天然素材やリネンの選び方がわかる
  • 和モダンやレトロな空間を作る色と柄のコーディネート術
  • ブラインドやプリーツスクリーンなどカーテン以外の選択肢
  • 隙間風を防ぎ断熱効果を高める具体的な寒さ対策
  • 鴨居や長押を活用したレールなしでの取り付けDIY方法
  • 窓のサイズに合わせた適切な丈の調整とオーダーのコツ
  • 古民家特有の悩みを解消し快適に暮らすための工夫

古き良き日本の伝統を感じさせる古民家での暮らしは、多くの人にとって憧れのスタイルです。

太い梁や柱、土壁や畳といった独特の風合いは、新築住宅にはない深い味わいを持っています。

しかし、実際に住み始めてみると、現代の住宅とは異なる悩みが出てくることも事実です。

特に「窓まわり」に関しては、一般的な住宅とは勝手が違うため、どのように整えればよいか迷う方が少なくありません。

古民家でカーテンを選ぶ際には、単に光を遮るという役割だけでなく、建物の雰囲気を壊さないデザイン性や、厳しい冬の寒さを和らげる機能性が求められます。

サッシではなく木製建具が使われている場合や、そもそもカーテンレールが付いていないというケースも多々あるでしょう。

また、隙間風が入ってくるために、インテリアを楽しむ余裕がないほど寒さに悩まされているという声もよく耳にします。

そこで今回は、古民家のカーテン選びにおける重要なポイントについて、デザインと機能の両面から詳しく解説していきます。

おしゃれなカフェ風のインテリアを目指すための素材選びや、和室に馴染む色のコーディネート、そして切実な問題である寒さ対策や断熱の方法まで、幅広く網羅しました。

また、賃貸物件などで壁に穴を開けられない場合に役立つ、鴨居や長押を活用したDIYでの取り付けアイデアもご紹介します。

これから古民家での生活を始める方も、すでにお住まいで窓まわりの改善を考えている方も、ぜひ参考にしてください。

あなただけの素敵な空間づくりをお手伝いします。

 

 

古民家のカーテンの選び方とデザイン

ポイント

  • 素材にはリネンなどの天然素材を選ぶ
  • 和モダンな雰囲気に馴染む色と柄
  • レトロな空間を作るコーディネート術
  • ブラインドやスクリーンを代用する案
  • カフェ風のおしゃれな実例を紹介

 

素材にはリネンなどの天然素材を選ぶ

古民家という空間が持つ最大の魅力は、長い年月を経て刻まれた木の質感や、土壁などの自然素材が醸し出す温かみです。

そのため、窓辺に吊るす布地に関しても、化学繊維のツルツルとした光沢感よりも、自然の風合いを感じさせる天然素材が圧倒的に馴染みます。

中でも特におすすめしたいのがリネン(麻)です。

リネンは古くから人類に使われてきた素材であり、その素朴でありながら上品な佇まいは、和の空間に見事に調和します。

リネンの最大の特徴は、光を優しく通す透け感にあります。

日中の強い日差しを和らげつつ、室内に柔らかな木漏れ日のような明るさを届けてくれます。

古民家は軒が深く、室内が暗くなりがちですが、リネンのカーテンならば圧迫感を与えず、空間を軽やかに見せてくれるでしょう。

また、繊維の中に空洞があるため、通気性が良く、湿気の多い日本の気候に適しています。

夏は涼しげな風を部屋に通し、冬は繊維に含まれる空気が断熱の役割を果たすため、一年を通して快適に過ごすことができます。

コットン(綿)もまた、古民家に適した素材の一つです。

リネンよりも柔らかく、親しみやすい肌触りが特徴で、染色しやすい性質からカラーバリエーションも豊富です。

和室の畳や障子といったマットな質感のインテリアと相性が良く、主張しすぎない落ち着いた窓辺を作ることができます。

さらに、これらをミックスしたコットンリネンという選択肢もあります。

両方の良さを兼ね備え、程よいシャリ感と柔らかさを楽しむことができるでしょう。

ただし、天然素材を選ぶ際には注意点もあります。

それは、洗濯による「縮み」です。

特にリネンは水に濡れると繊維が収縮する性質があるため、購入時には少し長めのサイズを選ぶか、防縮加工が施されたものを選ぶ必要があります。

また、ポリエステルなどの化学繊維に比べてシワになりやすいという特徴もありますが、古民家においてはそのシワさえも「味わい」としてポジティブに捉えられることが多いです。

洗いざらしのくたっとした質感が、経年変化した柱や床の雰囲気とリンクし、気取らないリラックスした空間を演出してくれるからです。

もし、より機能性を重視したい場合は、見た目は天然素材のような風合いを持ちながら、ポリエステルを混紡して扱いやすくした「天然素材風」の生地も販売されています。

これらは洗濯機で丸洗いできたり、形状記憶加工が施されていたりと、メンテナンスが容易です。

しかし、本物の素材が持つ独特の揺らぎや、時と共に変化していく表情を楽しみたいのであれば、やはり純粋な天然素材にこだわる価値は大いにあります。

選ぶ際は、実際に生地のサンプルを取り寄せ、古民家の現場で光に透かしてみることを強くお勧めします。

朝の光、昼の光、夕方の光、そして夜の照明の下で、その布がどのような表情を見せるのかを確認してください。

古民家の薄暗さの中で美しく映える素材を見つけることが、理想のインテリアへの第一歩となります。

 

和モダンな雰囲気に馴染む色と柄

古民家のインテリアコーディネートにおいて、色の選び方は空間の印象を決定づける非常に重要な要素です。

基本的には、古民家自体が持つ「茶色(木部)」「ベージュ(土壁・畳)」「白(漆喰)」といったベースカラーに調和する色を選ぶのが失敗しないコツです。

これらはいわゆるアースカラーと呼ばれる色味であり、自然界に存在する色であるため、見ていて安心感があり、和の空間に違和感なく溶け込みます。

具体的には、生成り(きなり)色、ベージュ、ブラウン、モスグリーン、テラコッタなどが挙げられます。

これらの色は、主張しすぎずに背景として機能し、古い家具や建具の魅力を引き立ててくれます。

特に生成り色は、真っ白なホワイトよりも温かみがあり、経年変化で飴色になった柱や床とのコントラストが強くなりすぎないため、最も使いやすい色と言えるでしょう。

一方で、空間にアクセントを加えたい場合は、日本の伝統色を取り入れるのがおすすめです。

例えば、「藍色(あいいろ)」や「墨色(すみいろ)」といった深く濃い色は、空間を引き締める効果があります。

古民家のどっしりとした重厚感に負けない力強さがあり、モダンで洗練された印象を与えます。

また、「抹茶色」や「辛子色(からしいろ)」、「小豆色(あずきいろ)」なども、和室のアクセントとして非常に相性が良いです。

これらの色をカーテンに取り入れることで、落ち着きの中にも個性が光る「和モダン」なスタイルが完成します。

柄物を選ぶ際にも、和の要素を意識することが大切です。

あまりに現代的でポップな柄や、派手な幾何学模様は、古民家の静謐な雰囲気と喧嘩してしまう可能性があります。

おすすめなのは、植物をモチーフにしたボタニカル柄や、伝統的な和柄(七宝、麻の葉、青海波など)を現代風にアレンジしたデザインです。

また、ストライプやチェックといった定番の柄でも、線がかすれていたり、色が褪せたようなヴィンテージ感のあるプリントであれば、レトロな雰囲気にマッチします。

無地であっても、織り方に特徴がある生地を選ぶことで、表情豊かな窓辺を作ることができます。

例えば、太い糸と細い糸を不規則に織り込んだ「シャンタン」や、ざっくりとした編み目の「ヘリンボーン」などは、光の当たり方によって陰影が生まれ、平坦な印象になりません。

古民家の壁や建具は、均一ではなく手仕事の跡が残っていることが多いため、カーテン生地にも同様の複雑さや奥行きがある方が、全体として調和が取れやすくなります。

色や柄を選ぶ際は、部屋の用途も考慮しましょう。

リビングや客間であれば、明るく開放的な生成りや淡いベージュが適していますし、寝室や書斎であれば、落ち着いて過ごせる藍色やダークブラウンが良いでしょう。

また、季節によって掛け替えるのも楽しみの一つです。

春夏は涼しげな麻の生成り、秋冬は暖かみのあるウールの暖色系など、日本の四季に合わせて室内の装いを変えることで、古民家暮らしの豊かさをより深く味わうことができます。

 

レトロな空間を作るコーディネート術

カーテン単体のデザインだけでなく、部屋全体の家具や照明、小物とのコーディネートを考えることで、より完成度の高いレトロな空間を作り上げることができます。

古民家リノベーションで人気のあるスタイルの一つに「大正ロマン」や「昭和レトロ」といったテイストがあります。

これらは、和洋折衷の独特な雰囲気が魅力であり、カーテン選びにおいても少し洋風の要素を取り入れることがポイントになります。

例えば、カーテンレールに装飾性のあるアイアン(鉄)素材や真鍮(しんちゅう)素材を使うと、一気にアンティークな雰囲気が高まります。

黒いアイアンは空間を引き締め、真鍮は経年変化で鈍い輝きを放ち、古材との相性が抜群です。

また、カーテンを束ねるタッセルにもこだわりましょう。

共布のタッセルではなく、ロープ状の装飾タッセルや、房(フリンジ)が付いたものを選ぶと、クラシカルで重厚な印象になります。

古い着物の帯締めをタッセルとして再利用するのも、古民家ならではの粋なアイデアです。

レースカーテンの選び方も重要です。

一般的なシンプルなボイルレースも悪くありませんが、編み模様の入った「編みレース」や、花柄の刺繍が施された「エンブロイダリーレース」を選ぶと、ノスタルジックな窓辺を演出できます。

光が差し込んだ時に、床や壁にレースの模様が影となって落ちる様は非常に美しく、時間の流れをゆったりと感じさせてくれるでしょう。

家具とのバランスも見逃せません。

ちゃぶ台や桐箪笥といった純和風の家具には、落ち着いた色味のリネンやコットンが合いますが、カリモク60のようなミッドセンチュリーなソファや、古い学校の椅子などを置く場合は、少し彩度の高いベルベット素材のカーテンや、幾何学模様のファブリックを合わせると、個性的でおしゃれなミックススタイルになります。

照明器具も、裸電球や乳白色のガラスシェード、ステンドグラスのペンダントライトなどを組み合わせることで、夜のカーテンの表情をより魅力的に見せることができます。

また、窓辺に置く観葉植物も重要な脇役です。

古民家には、モンステラやウンベラータのような大きな葉を持つ植物や、ドライフラワーなどがよく似合います。

アースカラーのカーテンを背景に、植物の緑が映える配置を考えると良いでしょう。

さらに、カーテンだけでなく、床に敷くラグやクッションカバーと色味や素材感をリンクさせることで、部屋全体に統一感が生まれます。

あえて「隙」を作ることも、レトロな空間づくりのコツです。

すべてを新品で完璧に揃えるのではなく、どこか懐かしさを感じるアイテムや、少し使い古されたような質感をミックスすることで、古民家特有の時間の蓄積と調和し、居心地の良いリラックス空間が生まれます。

自分の好きな「古さ」の基準を見つけ、それを窓辺のコーディネートに反映させてみてください。

 

ブラインドやスクリーンを代用する案

古民家の窓辺を演出する方法は、必ずしも布製のカーテンだけではありません。

窓の形状や用途、目指すインテリアのスタイルによっては、ブラインドやロールスクリーン、プリーツスクリーンなどを選んだ方が、機能的かつ美しく収まる場合があります。

特に、和室の障子の代わりに設置する場合や、小窓をすっきりと見せたい場合には、これらのメカ系アイテムが非常に有効です。

まずおすすめしたいのが「木製ブラインド(ウッドブラインド)」です。

天然木の羽(スラット)を使用したブラインドは、古民家の柱や床材と素材感が共通しているため、違和感なく馴染みます。

重厚感があり、羽の角度を調整することで光と風の量を細かくコントロールできる点がメリットです。

特に、縁側やリビングの大きな窓に設置すると、高級感のあるリゾートホテルのような雰囲気を演出できます。

色は、建具の色に合わせてダークブラウンやミディアムブラウンを選ぶと統一感が出ます。

次に、「プリーツスクリーン」も古民家で人気の高いアイテムです。

これは、扇子のように折り畳まれた生地を上下させて開閉するもので、和紙のような質感の不織布を使ったものが多く販売されています。

光を柔らかく拡散する効果があり、障子のような役割を果たしてくれます。

シースルー生地と不透明生地を上下に配置した「ツインスタイル」を選べば、プライバシーを守りつつ採光も確保できるため、通りに面した窓などに最適です。

断熱性を重視するなら、「ハニカムシェード」が有力な選択肢となります。

断面が蜂の巣(ハニカム)のような六角形の構造になっており、その中に空気の層を作ることで、高い断熱・保温効果を発揮します。

古民家は断熱性能が低いことが多いため、窓からの冷気を遮断するこのアイテムは、寒さ対策として非常に効果的です。

見た目はシンプルですが、機能面でのメリットは計り知れません。

また、もっと手軽に和の雰囲気を楽しみたい場合は、「すだれ」や「よしず」を室内で使うのも一つの手です。

これらは本来屋外で使うものですが、最近では室内用のデザイン性の高いものも増えています。

竹や葦(よし)などの天然素材で作られたスクリーンは、通気性が抜群で、夏場の涼しさを演出するのに最適です。

カーテンレールに取り付けられるタイプもあるため、季節に合わせて掛け替えるのも良いでしょう。

代用品を選ぶ際の注意点としては、取り付けスペースの問題があります。

特に木製ブラインドは、たたみ上げた時に上部に厚み(たまり)が出るため、窓の上枠に十分なスペースがないと、窓の開口部を塞いでしまい部屋が暗くなることがあります。

また、操作コードやチェーンの安全性にも配慮が必要です。

それぞれのメカの特徴を理解し、窓のサイズや開閉頻度に合わせて最適なものを選びましょう。

 

カフェ風のおしゃれな実例を紹介

古民家を改装してカフェや雑貨店を開いている店舗で見かけるような、おしゃれでこなれた窓辺のスタイル。

これを自宅に取り入れたいと考える方は多いはずです。

ここでは、実際に古民家で実践されている「カフェ風」のカーテン演出の実例をいくつかご紹介し、そのエッセンスを紐解いていきます。

一つ目のスタイルは、「リネンのフラットカーテンをクリップで留める」という手法です。

通常、カーテンにはフックをかけるためのヒダ(プリーツ)が作られていますが、あえてヒダを作らないフラットな布を、カーテンレールやワイヤーに専用のクリップランナーで挟んで吊るします。

これにより、布本来の自然なドレープが生まれ、飾らないラフな雰囲気が演出できます。

裾を引きずるくらいの長さに設定する「ブレイクスタイル」にすれば、海外のインテリアのようなルーズでおしゃれな印象になります。

二つ目は、「カフェカーテンを多用する」スタイルです。

特に上げ下げ窓や小さな腰高窓には、突っ張り棒を使って窓の下半分や中央部分だけにレースや薄手の生地を吊るします。

これにより、外からの視線を遮りつつ、上部からはたっぷりと光を取り込むことができます。

使用する生地も、アンティークのレースや、自分で染めた布、端切れをパッチワークしたものなど、DIY要素を取り入れることで、オリジナリティあふれる窓辺になります。

三つ目は、「異なる素材や色をレイヤードする」テクニックです。

例えば、厚手のドレープカーテンの内側に、透け感の異なる2種類のレースカーテンを重ねて吊るしたり、窓の左右で違う色のカーテンを使ったりすることで、奥行きとリズムが生まれます。

古民家の空間は単調になりがちなので、窓辺にこうした遊び心を取り入れることで、一気に垢抜けた印象になります。

また、カーテンレール自体を「見せる収納」のように使うアイデアもあります。

レールの上にドライフラワーのスワッグを飾ったり、ペンダントライトを吊り下げたりして、窓まわり全体を一つのディスプレイコーナーとして捉えるのです。

窓枠を額縁に見立て、その中の景色とカーテンの組み合わせを楽しむという発想も、カフェ風インテリアの重要なポイントです。

これらの実例に共通しているのは、「既製品をそのまま使うのではなく、ひと手間加えている」という点です。

丈を自分で直したり、タッセルを自作したり、あえて違う種類の布を組み合わせたり。

古民家という個性的な箱だからこそ、そこに住む人の感性を自由に表現した窓辺がよく似合います。

ぜひ、固定観念にとらわれず、自由な発想で窓辺をスタイリングしてみてください。

 

 

古民家に合うカーテンの機能と設置

ポイント

  • 隙間風を遮断するための寒さ対策
  • 断熱効果を高める裏地やライナー活用
  • レールがない場所への取り付け方法
  • 鴨居や長押を活用したDIYアイデア
  • 窓のサイズに合わせた丈の調整
  • 快適な古民家のカーテン生活を実現

 

隙間風を遮断するための寒さ対策

古民家暮らしにおいて、避けて通れない最大の課題が「冬の寒さ」です。

現代の高気密高断熱住宅とは異なり、古民家は通気性を重視して建てられているため、どうしても隙間風が入り込みやすくなっています。

特に窓ガラスやサッシ周り、障子の隙間からの冷気(コールドドラフト)は、部屋の温度を下げる大きな要因となります。

カーテンを適切に活用することで、この冷気の侵入を物理的に防ぎ、室内の暖かさを逃さないようにすることが非常に重要です。

まず見直すべきは「カーテンのサイズと吊り方」です。

既製品のカーテンを買ってきてそのまま吊るしただけでは、裾や横から冷気が漏れてくることがよくあります。

寒さ対策を最優先にするなら、カーテンの丈は「床につく長さ」にするのが鉄則です。

通常は床から1〜2cm浮かせるのが一般的ですが、古民家の場合はあえて床に10〜15cmほど垂らす「ブレイクスタイル(パドリングスタイル)」を採用することで、下からの冷気の侵入を大幅にカットできます。

見た目も海外風でおしゃれになるため、一石二鳥です。

次に、「リターン仕様」の活用です。

これは、カーテンの両端を壁側に折り返して固定する方法です。

一般的なカーテンレールには、サイドに「リターン金具」を取り付けられるものがあります。

これを使ってカーテンの端を壁に密着させることで、横からの隙間風をシャットアウトできます。

もし専用の金具がない場合でも、一番端のフックをレールの固定ランナーではなく、壁に近い位置にフックなどを増設して掛けることで同様の効果が得られます。

さらに、カーテンレールの上部も盲点となりがちです。

温められた空気は上昇し、冷たい空気は下降します。

レールの上部に隙間があると、そこから暖かい空気が逃げ、冷たい空気が入り込む対流が起きてしまいます。

これを防ぐために、「カーテンボックス」を取り付けるか、あるいは「カバートップ」付きの機能性レールに交換するのが効果的です。

DIYでレールの上に板を一枚乗せるだけでも、空気の流れを遮断する効果は期待できます。

また、カーテンを2重(ドレープとレース)にするのは基本ですが、さらに3重にするという手もあります。

窓ガラスに直接貼る断熱シートや、カーテンレールのランナーに追加で吊るせるビニール製の断熱ライナーなどを併用することで、空気の層を増やし、断熱性能を格段に向上させることができます。

これらはホームセンターなどで安価に入手できるため、コストをかけずにできる即効性のある対策としておすすめです。

古民家の寒さは、風情ある景色との引き換えと考えられがちですが、適切な対策を行えば十分にコントロール可能です。

隙間を埋めるという物理的なアプローチを徹底することで、冬でも暖かく快適なリビングを実現しましょう。

 

断熱効果を高める裏地やライナー活用

カーテンの素材選びの項でリネンやコットンなどの天然素材をおすすめしましたが、これらの薄手の素材は、見た目は素敵でも断熱性という点では化学繊維の厚手カーテンに劣る場合があります。

「おしゃれな天然素材を使いたいけれど、寒さも防ぎたい」というジレンマを解消してくれるのが、「裏地」や「後付けライナー」の活用です。

裏地付きのカーテンとは、表地の裏側に別の布(裏地)が縫い付けられている2枚仕立てのカーテンのことです。

表地と裏地の間に空気の層ができるため、これが断熱材のような役割を果たし、保温効果が高まります。

また、裏地があることで表地が日焼けによる劣化から守られ、カーテン自体の寿命が延びるというメリットもあります。

さらに、適度な重量感が生まれることで、ドレープ(ヒダ)が美しく出るようになり、高級感も増します。

もし、すでに気に入った裏地なしのカーテンを持っている場合は、「後付け裏地(裏地ライナー)」を利用するのが便利です。

これは、今使っているカーテンのフックに引っ掛けるだけで簡単に取り付けられる専用の布です。

遮光機能や遮熱・保温機能を持った高機能なライナーが多く販売されています。

これを使えば、夏は遮熱効果で涼しく、冬は保温効果で暖かく、季節に合わせて機能を追加したり外したりすることが可能です。

裏地の素材にもいくつかの種類があります。

遮光性を高めたいなら黒糸を織り込んだ遮光生地、とにかく寒さを防ぎたいなら起毛素材や、アルミ蒸着加工が施された特殊生地などがあります。

古民家の場合、完全に光を遮断する「完全遮光」の裏地をつけてしまうと、朝になっても部屋が真っ暗で、自然の移ろいを感じにくくなるというデメリットも考えられます。

そのため、適度に光を通す非遮光の裏地や、遮光等級の低いものを選ぶなど、ライフスタイルに合わせて選択することが大切です。

また、カーテン自体を「サーマルカーテン(断熱カーテン)」と呼ばれる特殊なものに変える方法もあります。

これは生地の織り方や加工によって、高い断熱性能を持たせたカーテンです。

最近では、ワッフル織りのような凹凸のある生地で空気層を作るものなど、デザイン性を損なわずに機能を高めた商品も登場しています。

寒さが特に厳しい北側の部屋や、寝室などには、厚手のドレープカーテンにさらに起毛の裏地をつけるなど、重装備にすることをおすすめします。

一方で、日当たりの良い南側の縁側などは、光を取り込むことを優先して薄手の裏地にするなど、場所によって使い分けるのが賢い方法です。

裏地やライナーを駆使して、デザインと機能のバランスが取れた理想の窓辺を作りましょう。

 

レールがない場所への取り付け方法

古民家リノベーションにおいてよく直面する問題の一つが、「カーテンレールが付いていない」あるいは「取り付ける場所(下地)がない」というケースです。

土壁でネジが効かない、鴨居や長押(なげし)といった和風建築特有の造作があって一般的なレールが付けられない、といった悩みです。

しかし、諦める必要はありません。

古民家の構造を活かした取り付け方法や、壁を傷つけないアイテムが数多く存在します。

最も手軽なのは「つっぱり棒(テンションポール)」の利用です。

窓枠の内側に突っ張るだけで設置できるため、壁に穴を開ける必要がありません。

カフェカーテンや薄手の生地であれば、100円ショップなどで売られている細いポールでも十分対応できます。

重いカーテンを吊るしたい場合は、耐荷重の高い強力タイプのつっぱり棒を選びましょう。

ただし、土壁などの脆い部分に突っ張ると壁が崩れる恐れがあるため、必ず木の柱や窓枠の木部に対して設置するようにしてください。

次に、「カーテンワイヤー」を使う方法です。

ワイヤーを窓の左右の柱や枠に固定し、クリップランナーでカーテンを吊るします。

見た目が非常にシンプルでミニマルなため、古民家の雰囲気を邪魔しません。

ただし、ワイヤーは重みでたわみやすいため、中央に支持金具を入れるか、軽いリネンなどの素材を選ぶのがコツです。

もし、窓枠の上部に木部があるなら、「正面付け」ではなく「天井付け」用のブラケットを使ってレールを設置する方法もあります。

窓枠の下側(見上げると見える面)にレールを取り付けることで、正面からはレールが目立たず、すっきりとした印象になります。

機能性レールの中には、薄型で目立たないデザインのものもあるので、そういった製品を選ぶと良いでしょう。

和室でよく見られる「障子」の敷居や鴨居の溝を利用する方法もあります。

障子を外してしまい、その溝にぴったりハマる木の棒や、専用の突っ張りアジャスターを設置し、そこにカーテンを吊るすというアイデアです。

これなら元ある構造を一切傷つけずに、洋風のカーテンを取り入れることができます。

また、最近では「壁に穴を開けないカーテンレール」という商品も販売されています。

これは窓枠の出っ張りを利用して締め付けるタイプのものや、強力な粘着テープとピンを併用するものなどがあります。

賃貸物件の古民家に住む場合など、原状回復が必要なシーンで非常に重宝します。

どのような取り付け方法を選ぶにせよ、まずは設置場所の材質と強度をしっかりと確認することが重要です。

 

鴨居や長押を活用したDIYアイデア

日本の伝統的な家屋には、「鴨居(かもい)」や「長押(なげし)」と呼ばれる横木が壁に沿って走っています。

これらは構造材や装飾材として機能していますが、カーテンを取り付けるための絶好の下地としても活用できます。

先人の知恵が詰まったこれらの造作を利用すれば、大掛かりな工事をすることなく、DIYで簡単におしゃれなカーテンレールを設置することが可能です。

最もポピュラーなのが、「鴨居フック」の活用です。

ホームセンターや100円ショップで手に入る、鴨居を挟み込んで固定するタイプのフックです。

これを左右に2つ(幅が広い場合は中央にも)取り付け、その上にポール(棒)を渡せば、即席のカーテンレールの完成です。

ポールには木の丸棒や、アイアンのバー、あるいは竹などを使うと、古民家の雰囲気にマッチします。

リングランナーを通してからポールを設置すれば、開閉もスムーズに行えます。

長押がある場合は、長押の上に引っ掛けるタイプの金具やフックが使えます。

長押は壁から少し浮いている構造になっていることが多く、その隙間を利用して固定できるアイテムが便利です。

また、長押自体がしっかりとした木材であれば、そこに直接木ネジでブラケット(支持金具)を固定し、本格的な木製レールやアイアンレールを取り付けることも可能です。

ただし、長押が装飾用で強度が低い場合もあるので、手で押してみてグラつきがないか確認してから行いましょう。

少し上級者向けのDIYとして、「木製レールカバーの自作」があります。

既存の金属製レールや突っ張り棒が見えてしまうのが嫌な場合、L字型の木材や古材を使ってレールを覆うボックスを作ります。

これを鴨居や長押の上に固定することで、無機質なレールを隠しつつ、インテリアの一部として馴染ませることができます。

古材を使えば、最初からそこにあったかのような一体感が生まれます。

「のれん」のように吊るすスタイルも、古民家ならではのアイデアです。

鴨居に直接ヒートン(「?」の形をしたねじ込みフック)をねじ込み、そこに「のれん棒」を通します。

カーテンの上部を袋縫いにして棒を通すか、チチ(布のループ)を作って通せば、素朴で温かみのある窓辺になります。

この方法は、開閉を頻繁に行わない小窓や、間仕切りとして使う場合に特に適しています。

DIYで取り付ける際の注意点は、水平をしっかり取ることです。

古民家は建物自体が経年で傾いている場合があるため、床からの高さを測るだけでなく、水平器を使って正確な水平を確認しながら取り付けるときれいに仕上がります。

鴨居や長押という日本建築の良さを活かしながら、現代の暮らしに合った工夫を楽しんでみてください。

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窓のサイズに合わせた丈の調整

カーテン選びで最も失敗しやすいのが「サイズ」です。

特に古民家の窓は、現代の規格サイズ(幅100cm×丈135cmなど)とは異なる独自の寸法で作られていることが多く、既製品が合わないケースが大半です。

また、窓枠が歪んでいて、右と左で高さが微妙に違うといったことも珍しくありません。

そのため、正確な採寸と、状況に合わせた丈の調整が不可欠となります。

まず、採寸の基本ですが、カーテンレールのランナー(フックを掛ける輪)の下端から測り始めます。

掃き出し窓(床まである窓)の場合、通常は「床まで測った長さからマイナス1〜2cm」が仕上がり丈となります。

しかし、前述の通り寒さ対策を重視するなら「プラス10〜15cm」のブレイクスタイルにするか、少なくとも「プラスマイナス0(床に触れる程度)」にするのがおすすめです。

腰高窓(壁の途中にある窓)の場合は、「窓枠の下端からプラス15〜20cm」長く垂らすのが一般的です。

これにより、光漏れや冷気の侵入を防ぎ、見た目のバランスも良くなります。

ただし、窓の下に家具を置く予定がある場合は、干渉しない長さに調整する必要があります。

古民家でよくあるのが、「既製品を買ってきたけれど長すぎる、または短すぎる」という問題です。

長すぎる場合は、裾上げテープなどを使って自分で丈を詰めることができますが、ミシンが使えるなら一度糸を解いて縫い直す方がきれいに仕上がります。

逆に短すぎる場合は、裾に別の布を継ぎ足して「ボトムボーダー」のデザインにしてしまうというリメイク術があります。

例えば、無地のカーテンの裾に、和柄の布やリネンの別色を継ぎ足すことで、世界に一つのオリジナルカーテンに変身させることができます。

リネンなどの天然素材を選ぶ場合は、洗濯による「縮み」を計算に入れることを忘れてはいけません。

リネンは最初の洗濯で3〜5%程度縮むと言われています。

丈が2mの場合、6〜10cmも短くなる計算です。

そのため、オーダーする際はあらかじめ縮み分を考慮して長めに作るか、購入後に一度水通しをして縮ませてから裾上げをするのが確実です。

アジャスターフックの活用も重要です。

現在の多くのカーテンには、フックの位置を上下に数センチ調整できるアジャスターフックが付属しています。

これにより、多少の採寸ミスや洗濯による縮みをカバーすることができます。

Aフック(レールが見える仕様)とBフック(レールが隠れる仕様)の使い分けも含め、微調整を行うことで、窓辺の印象は驚くほど変わります。

最終的に既製品ではどうしても合わない場合は、やはりオーダーカーテンを利用するのが一番の近道です。

最近ではインターネットで1cm単位で注文できる手頃なショップも増えています。

古民家のいびつな窓にもぴったりと合うカーテンは、それだけで空間の質を上げてくれます。

採寸の手間を惜しまず、ジャストサイズの気持ちよさを手に入れてください。

 

快適な古民家のカーテン生活を実現

ここまで、古民家に合うカーテンの選び方から、機能性を高める工夫、そして取り付けのDIYアイデアまで詳しく見てきました。

古民家での暮らしは、不便さを楽しむ側面もありますが、毎日の生活に関わる「寒さ」や「使い勝手」については、我慢せずに適切な対策を講じることが、長く住み続けるための秘訣です。

天然素材の持つ優しい風合いや、和モダンな色使いを取り入れることで、古民家ならではの魅力を最大限に引き出すことができます。

一方で、最新の断熱ライナーや機能的な取り付け器具をうまく組み合わせることで、現代の快適性も同時に手に入れることが可能です。

古いものと新しいもの、デザインと機能をバランスよく融合させることが、成功の鍵と言えるでしょう。

窓辺が変われば、部屋全体の空気が変わります。

朝起きてカーテンを開ける瞬間、西日が障子越しに差し込む夕暮れ時、夜にカーテンを閉めて暖かな部屋でくつろぐ時間。

その一つ一つのシーンが、より豊かで愛おしいものになるはずです。

ぜひ、この記事を参考にして、あなたの古民家にぴったりの「窓辺の風景」を作り上げてください。

 

記事のまとめ

  • 古民家にはリネンやコットンなどの天然素材が最も美しく調和する
  • 色は生成りやアースカラーを基本に藍色や墨色をアクセントにする
  • 和モダンやレトロな柄を取り入れると空間に深みが生まれる
  • カーテンレールやタッセルに真鍮やアイアンを使うと雰囲気が増す
  • 木製ブラインドやハニカムシェードは機能的かつおしゃれな代用案
  • 障子風のプリーツスクリーンは和室の窓辺に最適
  • カフェ風にするならクリップや異なる素材のレイヤードを楽しむ
  • 寒さ対策には床に垂らすブレイクスタイルやリターン仕様が有効
  • 断熱効果を高めるには裏地付きや後付けライナーを活用する
  • レール上部の隙間を塞ぐことで冷気の侵入を大幅にカットできる
  • レールがない場所にはつっぱり棒やワイヤーを使って取り付ける
  • 鴨居フックや長押を利用すれば壁を傷つけずにDIYが可能
  • 古民家の窓は規格外が多いため正確な採寸と丈の調整が必須
  • 天然素材の縮みを考慮したサイズ選びや水通しが重要
  • デザインと機能のバランスを取り快適な古民家ライフを実現する