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【放置は危険!】モルタルのひび割れをdiy補修する判断基準

ご自宅の外壁や基礎部分に、モルタルのひび割れを見つけて不安に感じていませんか。

そのまま放置してよいものなのか、それとも早急な対応が必要なのか、判断に迷うことも多いでしょう。

実は、モルタルのひび割れには様々な原因があり、種類によっては建物の寿命を縮める危険なサインである可能性も否定できません。

一方で、ヘアクラックと呼ばれるような軽微なものであれば、専門的な知識がなくてもご自身で補修することも可能です。

モルタルのひび割れをdiy補修することは、費用を抑えられるだけでなく、住まいへの愛着を深めるきっかけにもなります。

しかし、正しい知識がないまま作業を進めてしまうと、かえって状態を悪化させてしまう恐れもあるため注意が必要です。

この記事では、モルタルのひび割れをdiy補修したいと考えている方に向けて、ひび割れが発生する根本的な原因から、ご自身で補修できるひび割れの種類、そして具体的な補修手順まで、一連の流れを詳しく解説していきます。

安全に作業を進めるために必要な道具の選び方や、補修材としてよく使われるコーキングやプライマーの役割、さらには専門の業者に依頼すべきケースの見極め方、依頼した場合の費用相場についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を最後まで読めば、モルタルのひび割れに対する漠然とした不安が解消され、適切な対処法を自信を持って選択できるようになるはずです。

 

この記事でわかること、ポイント

  • モルタルのひび割れを放置する具体的なリスク
  • ひび割れが発生する主な原因とメカニズム
  • DIY可能なひび割れと業者に頼むべきひび割れの見分け方
  • DIY補修に必要な道具と補修材の正しい選び方
  • 初心者でもわかるモルタルひび割れの詳しい補修手順
  • 専門業者に補修を依頼した場合の費用相場
  • 補修効果を長持ちさせるための重要なポイント

 

モルタルのひび割れをdiy補修する前に知るべき原因

ポイント

  • モルタルのひび割れを放置するリスクとは
  • ひび割れの主な原因は乾燥収縮と経年劣化
  • 危険な構造クラックと軽微なヘアクラックの見分け方
  • 業者に依頼した方が良いひび割れの種類
  • 補修を依頼した場合の費用相場について

 

モルタルのひび割れを放置するリスクとは

外壁や基礎に見られるモルタルのひび割れを、「これくらいなら大丈夫だろう」と安易に考えて放置してしまうのは非常に危険です。

たとえ小さなひび割れであっても、そこから雨水が浸入する可能性があります。

壁の内部に水が浸入すると、木造住宅の場合は柱や梁といった構造上重要な木材を腐食させる原因となりかねません。

また、鉄筋コンクリート造の建物であっても、内部の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを内側から破壊する「爆裂」という現象を引き起こすこともあります。

これらの劣化は建物の耐震性を著しく低下させ、大きな地震が発生した際に倒壊のリスクを高めることにつながるでしょう。

さらに、水の通り道ができてしまうと、壁の内部に湿気がこもりやすくなります。

湿気はカビやシロアリの発生原因となり、健康被害やさらなる建物の劣化を招く恐れがあるのです。

特にシロアリは木材を主食とするため、一度侵入を許してしまうと、家の土台や柱が深刻なダメージを受けてしまうかもしれません。

見た目の問題も無視できないでしょう。

ひび割れが多数入った外壁は美観を損ない、住まいの資産価値を低下させる一因となります。

将来的に売却を考えている場合、外壁の状態は査定額に大きく影響するポイントです。

最初は小さなヘアクラックでも、地震の揺れや温度変化による建物の伸縮によって、徐々にひび割れが大きく成長していくケースは少なくありません。

初期段階で適切に補修しておけば、比較的簡単な作業と少ない費用で済むことが多いのです。

問題を先送りにすることで、結果的により大規模な修繕が必要になり、高額な費用がかかってしまうことも考えられます。

このように、モルタルのひび割れを放置することには、建物の安全性、快適性、そして資産価値に至るまで、様々なリスクが伴います。

ひび割れに気づいたら、まずはその状態をよく観察し、早めに対処することが、大切な住まいを長持ちさせるための鍵となるでしょう。

 

ひび割れの主な原因は乾燥収縮と経年劣化

モルタルのひび割れはなぜ発生するのでしょうか。

その原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っている場合がほとんどです。

ここでは、主な原因として挙げられる「乾燥収縮」と「経年劣化」について詳しく解説します。

乾燥収縮によるひび割れ

モルタルは、セメント、砂、水を練り混ぜて作られます。

施工後、モルタルに含まれる水分が蒸発する過程で、体積が収縮する性質を持っています。

この収縮によって内部に応力(引っ張られる力)が発生し、その力にモルタルが耐えきれなくなるとひび割れが生じるのです。

これは「乾燥クラック」とも呼ばれ、特に施工後数週間から数ヶ月の、比較的早い段階で発生することが多いようです。

乾燥収縮によるひび割れは、幅が0.3mm以下の細いものが多く、一般的には建物の構造的な強度に直接影響を与える危険性は低いとされています。

しかし、見た目が気になるだけでなく、放置すれば水の浸入経路になる可能性は十分にあります。

経年劣化によるひび割れ

建物は常に紫外線や雨風、気温の変化といった過酷な自然環境に晒されています。

長年にわたりこれらの影響を受け続けることで、モルタル自体が劣化し、ひび割れが発生しやすくなります。

紫外線はモルタルの結合力を弱め、雨水はモルタルに含まれるアルカリ成分を溶かし出して中性化を促進させます。

モルタルが中性化すると、内部の鉄筋が錆びやすくなるなど、耐久性が低下してしまうのです。

また、昼夜の寒暖差や季節ごとの気温変化によって、モルタルはわずかながら膨張と収縮を繰り返しています。

この動きが長期間にわたって続くことで、材料に疲労が蓄積し、ひび割れの原因となることがあります。

経年劣化によるひび割れは、建物の寿命にも関わる重要なサインであるため、注意深く観察する必要があるでしょう。

その他の原因

上記以外にも、ひび割れの原因はいくつか考えられます。

  • 地震や交通振動: 大きな地震の揺れや、近隣の道路を大型車両が通行する際の振動が、建物にダメージを与えてひび割れを発生させることがあります。
  • 不同沈下: 地盤が不均一に沈下することで、建物に歪みが生じ、基礎や外壁に大きなひび割れが入ることがあります。これは非常に危険な状態です。
  • 設計や施工の問題: 新築から間もないのにひび割れが多発する場合、設計上の配慮不足や、施工時のモルタルの配合ミスなどが原因である可能性も考えられます。

これらの原因を理解することは、モルタルのひび割れをdiy補修する際に、そのひび割れがDIYで対応可能な範囲なのか、それとも専門業者に相談すべきレベルなのかを判断する上で非常に役立ちます。

 

危険な構造クラックと軽微なヘアクラックの見分け方

モルタルのひび割れには、緊急性の低いものから、建物の構造に深刻な影響を及ぼす危険なものまで、様々な種類が存在します。

モルタルのひび割れをdiy補修する際には、まず目の前のひび割れがどの種類に該当するのかを正確に見極めることが最も重要です。

ここでは、代表的な「ヘアクラック」と「構造クラック」の見分け方について解説します。

ヘアクラック(乾燥クラック)

ヘアクラックは、その名の通り髪の毛のように細いひび割れのことで、主にモルタルの乾燥収縮が原因で発生します。

一般的に、ひび割れの幅が0.3mm以下、深さが数mm程度のものを指します。

特徴としては、特定の方向に規則性がなく、網目状に発生することが多いようです。

ヘアクラックはモルタルの表面層に発生するものがほとんどで、建物の構造的な強度に直接影響を及ぼす可能性は低いと考えられています。

そのため、基本的にはDIYでの補修が可能な範囲と言えるでしょう。

ただし、数が多い場合や、時間の経過とともに幅が広がっているように感じる場合は注意が必要です。

放置すれば雨水が浸入し、内部の劣化を進行させる恐れがあるため、早めの補修が推奨されます。

構造クラック(貫通クラック)

構造クラックは、建物の構造的な欠陥や、地震、地盤沈下などの大きな力が加わることによって発生する、深刻なひび割れです。

ひび割れの幅が0.3mm以上あり、深さがモルタル層を貫通して内部の構造体にまで達していることが多いのが特徴です。

構造クラックは、建物の安全性に直結する非常に危険なサインであり、絶対に放置してはいけません。

もしご自宅のひび割れが構造クラックの疑いがある場合は、モルタルのひび割れをdiy補修することは絶対に避け、速やかに専門の業者に診断を依頼してください。

自己判断で補修を行うと、根本的な原因を見過ごし、手遅れになる可能性があります。

見分け方のポイント

以下の表は、ヘアクラックと構造クラックの主な違いをまとめたものです。

ひび割れをチェックする際の参考にしてください。

項目 ヘアクラック 構造クラック
ひび割れの幅 0.3mm以下 0.3mm以上
ひび割れの深さ 表面的なものが多い 深く、貫通している可能性がある
発生方向 不規則、網目状 垂直、水平、斜め45度など一定の方向
発生箇所 壁面全体にランダムに発生 窓の四隅、開口部周辺、建物の角など
段差の有無 ほとんどない ひび割れの両側で段差が生じていることがある
進行性 進行は緩やか 時間とともに幅が広がる、数が増える

ひび割れの幅を正確に測るためには、クラックスケールという専門の道具があると便利です。

持っていない場合は、一般的な名刺やはがきの厚みが約0.2mm~0.3mmなので、それをひび割れに差し込んでみて、スッと入るようであれば0.3mm以上と判断する目安になります。

正しい判断が、適切な補修への第一歩です。

 

業者に依頼した方が良いひび割れの種類

モルタルのひび割れをdiy補修することは費用を抑える上で有効な手段ですが、すべてのひび割れがDIYで対応できるわけではありません。

中には専門家による診断と適切な処置が必要な、危険なひび割れも存在します。

ここでは、DIYでの補修は避け、速やかに専門業者に相談すべきひび割れの種類について具体的に解説します。

ご自宅のひび割れが以下のケースに当てはまらないか、慎重に確認してください。

幅0.3mm以上の構造クラック

前述の通り、ひび割れの幅が0.3mmを超えている場合は「構造クラック」である可能性が非常に高いです。

これは単なる表面的な劣化ではなく、建物の構造自体に何らかの問題が生じているサインかもしれません。

特に、ひび割れが垂直や水平方向にまっすぐ伸びている場合や、窓枠の四隅から斜めに伸びている場合は、建物に大きな力がかかっている証拠です。

このようなひび割れを表面的なコーキングだけで埋めても、根本的な解決にはなりません。

原因を特定し、適切な補強工事などが必要になる場合があるため、必ず専門家の診断を仰ぎましょう。

ひび割れ部分に段差がある

ひび割れを挟んで、両側の壁面に段差が生じている場合も注意が必要です。

これは、建物を支える基礎や地盤に問題があり、不同沈下を起こしている可能性を示唆しています。

不同沈下は建物の傾きや歪みを引き起こし、最終的には建物の安全性そのものを脅かす深刻な事態につながりかねません。

この場合、外壁の補修だけでなく、地盤調査や基礎の補強といった大掛かりな工事が必要になるケースがほとんどです。

早急に専門業者に連絡し、詳細な調査を依頼することが不可欠です。

雨漏りが発生している

ひび割れが原因で、すでに室内に雨漏りが発生している場合は、DIYでの対応は困難です。

雨漏りしているということは、ひび割れから浸入した水が壁の内部を通り、室内まで到達している証拠です。

壁の内部では、断熱材が濡れて機能を失っていたり、木材が腐食し始めていたりする可能性が非常に高いでしょう。

外からひび割れを塞いだだけでは、内部の劣化を止めることはできません。

雨漏りの修理には、原因となっている箇所を正確に特定し、場合によっては外壁の一部を解体して内部を乾燥させ、修復するといった専門的な技術と経験が求められます。

広範囲にわたる、または高い場所のひび割れ

ひび割れが外壁全体に広がっている場合や、2階以上の高所など、ご自身での作業が困難な場所に発生している場合も、無理せず業者に依頼することをおすすめします。

高所での作業には足場の設置が必要となり、転落などの重大な事故につながる危険が伴います。

安全を最優先に考え、専門の業者に任せるのが賢明な判断です。

また、ひび割れの数が非常に多い場合は、単なる経年劣化だけでなく、塗装や下地の施工不良といった複合的な原因が隠れている可能性も考えられます。

プロの視点で全体を診断してもらい、最適な補修方法を提案してもらう方が、結果的に確実で長持ちする補修につながります。

これらのケースに該当する場合は、迷わず専門の塗装業者やリフォーム会社に相談しましょう。

多くの業者では無料で見積もりや現地調査を行っていますので、まずは気軽に問い合わせてみることをお勧めします。

 

補修を依頼した場合の費用相場について

DIYでの補修が難しいと判断し、専門業者に依頼する場合、どのくらいの費用がかかるのかは最も気になるところでしょう。

モルタルのひび割れ補修にかかる費用は、ひび割れの規模や状態、補修方法、足場の有無などによって大きく変動します。

ここでは、業者に依頼した場合の費用相場について、一般的な目安を解説します。

ひび割れ補修単体の費用

比較的軽微なひび割れ(ヘアクラックなど)を部分的に補修する場合の費用です。

補修方法によって単価が異なります。

  • コーキング(シーリング)充填: ひび割れに弾力性のあるコーキング材を埋める方法。費用相場は1メートルあたり700円~1,500円程度です。
  • Vカット(Uカット)工法: ひび割れ部分を専用の工具でV字またはU字にカットし、溝を広げてからコーキング材や樹脂モルタルを充填する方法。より確実な補修が可能です。費用相場は1メートルあたり2,500円~5,000円程度となります。

ただし、これらの費用はあくまで補修作業そのものの単価です。

実際には、これに加えて諸経費や出張費などがかかる場合がほとんどでしょう。

また、小規模な補修だけを依頼すると、最低料金が設定されていることも多く、割高になる傾向があります。

外壁塗装と同時に行う場合の費用

ひび割れが広範囲にわたっていたり、築10年以上が経過して外壁全体の劣化が進んでいたりする場合は、ひび割れ補修と合わせて外壁塗装も同時に行うのが一般的です。その方が足場代を一度で済ませられるため、トータルコストを抑えることができます。

一般的な30坪程度の戸建て住宅の場合、ひび割れ補修を含む外壁塗装全体の費用相場は、80万円~150万円程度が目安となります。

この費用には、以下の項目が含まれるのが通常です。

工事項目 費用相場(30坪の住宅) 内容
足場設置 15万円~25万円 安全に作業するための足場の組立・解体
高圧洗浄 2万円~4万円 壁の汚れや古い塗膜を洗い流す
下地処理(ひび割れ補修含む) 5万円~15万円 ひび割れの補修や欠損部の修復
養生 3万円~5万円 窓やドアなどが汚れないようにビニールで覆う
塗装(下塗り・中塗り・上塗り) 40万円~80万円 塗料の種類によって大きく変動
諸経費 工事費の5%~10% 現場管理費、廃材処理費など

塗料の種類(ウレタン、シリコン、フッ素、無機など)によって耐久年数と価格が大きく異なるため、どの塗料を選ぶかが総額を左右する大きな要因となります。

費用を抑えるためのポイント

業者に依頼する際は、必ず複数の業者から相見積もりを取るようにしましょう。

1社だけの見積もりでは、その金額が適正かどうかを判断できません。

3社程度の業者に見積もりを依頼し、金額だけでなく、工事内容や使用する材料、保証の有無などを比較検討することが大切です。

また、見積書の内容が「一式」となっている場合は注意が必要です。

どのような作業にいくらかかるのか、詳細な内訳を提示してくれる誠実な業者を選ぶようにしてください。

地域の助成金や補助金が利用できる場合もあるため、お住まいの自治体のホームページなどで確認してみるのも良いでしょう。

 

 

モルタルのひび割れをdiy補修するための手順と道具

ポイント

  • DIYに必要な道具と安全装備
  • コーキング材など補修材の選び方
  • 補修効果を高めるプライマーの重要性
  • 正しいひび割れ補修の具体的な手順
  • チョーキング現象が見られる場合の注意点
  • まとめ:正しい知識でモルタルのひび割れをdiy補修しよう

 

DIYに必要な道具と安全装備

モルタルのひび割れをdiy補修すると決めたら、まずは必要な道具と安全装備を揃えることから始めましょう。

適切な道具を使うことで、作業効率が上がるだけでなく、仕上がりの美しさも大きく変わってきます。

また、安全装備は怪我を防ぎ、安心して作業に集中するために不可欠です。

ホームセンターやオンラインストアで手軽に購入できるものばかりですので、事前にしっかりと準備してください。

必ず揃えたい基本の道具

  • ワイヤーブラシ・皮スキ: ひび割れ内部や周辺の汚れ、古い塗膜、もろくなったモルタルを掻き出すために使用します。清掃作業は補修材の密着性を高めるための重要な工程です。
  • ハケ・ブラシ: 清掃の仕上げに、削り出した粉塵などをきれいに取り除くために使います。プライマーを塗布する際にも必要です。
  • コーキングガン: カートリッジタイプのコーキング材を押し出すための専用ガンです。これがないとコーキング材を充填できません。
  • ヘラ: 充填したコーキング材を平らにならし、ひび割れにしっかりと密着させるために使用します。様々な幅や材質のものがありますが、最初はプラスチック製のセットなどを購入すると良いでしょう。
  • マスキングテープ: 補修箇所の周りに貼り、コーキング材がはみ出して汚れるのを防ぎます。仕上がりをきれいにするための必須アイテムです。
  • 養生シート・新聞紙: 作業中に補修材が地面に垂れて汚れないように、作業箇所の下に敷いておきます。
  • ウエス・雑巾: 道具を拭いたり、余分な補修材を拭き取ったりする際に使います。

あると便利な道具

  • Vカッター・ディスクグラインダー: ひび割れの幅が少し広い場合や、より確実に補修したい場合に使用します。ひび割れに沿ってV字型の溝を掘ることで、補修材の充填量を増やし、密着性を高めることができます。ただし、扱いには注意が必要です。
  • クラックスケール: ひび割れの幅を正確に測定するための定規です。DIYで補修すべきか判断する際に役立ちます。

安全に作業するための保護具

DIY作業では、安全の確保が最も重要です。

特にモルタルを削る際には粉塵が舞い、目や呼吸器に入る危険があります。

以下の保護具は必ず着用するようにしてください。

  • 保護メガネ: モルタルの破片や粉塵、薬剤などが目に入るのを防ぎます。
  • 防塵マスク: 細かい粉塵を吸い込むと健康を害する恐れがあります。必ず着用しましょう。
  • 作業用手袋(ゴム手袋): 手の怪我を防ぐとともに、補修材やプライマーが直接肌に付着するのを防ぎます。薬剤によっては肌荒れの原因になることもあります。
  • 汚れてもよい服装・帽子: 作業中は服が汚れる可能性が高いです。長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を避けましょう。

これらの道具と装備を事前に万全に整えることが、モルタルのひび割れをdiy補修する上で、成功への第一歩となります。

焦って作業を始めず、準備を怠らないようにしましょう。

 

コーキング材など補修材の選び方

モルタルのひび割れ補修の仕上がりや耐久性は、使用する補修材によって大きく左右されます。

ホームセンターに行くと様々な種類の補修材が並んでおり、どれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。

ここでは、DIYでよく使われるコーキング材(シーリング材)を中心に、補修材の選び方のポイントを解説します。

コーキング材の種類と特徴

コーキング材は、その主成分によっていくつかの種類に分けられます。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、補修する場所や目的に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。

種類 特徴 メリット デメリット 主な用途
変成シリコン系 シリコンとウレタンの長所を併せ持つ。 ・耐候性、耐久性が高い
・上から塗装が可能
・幅広い箇所に使える
・価格がやや高め 外壁のひび割れ補修に最適
ウレタン系 弾力性が高く、密着性に優れる。 ・硬化するとゴム状になる
・密着性が非常に高い
・上から塗装が可能
・紫外線に弱い(塗装が必須) 塗装が前提のひび割れ補修
アクリル系 水性で扱いやすい。 ・価格が安い
・湿った場所にも施工可能
・上から塗装が可能
・耐久性が低い
・硬化後の肉やせが大きい
内壁のひび割れ、補修箇所の動きが少ない場所
シリコン系 耐水性、耐熱性に優れる。 ・価格が安い
・耐水性が非常に高い
・上から塗装ができない
・撥水性が高く、周囲を汚しやすい
キッチン、浴室などの水回り(外壁には不向き)

モルタルの外壁のひび割れをdiy補修する場合には、「変成シリコン系」のコーキング材が最もおすすめです。

耐候性が高く、補修後に上から塗装することもできるため、汎用性が非常に高いと言えるでしょう。

ウレタン系も性能は高いですが、紫外線に弱いため、必ず塗装で保護する必要があります。

よくDIYで使われる安価なシリコン系は、塗装ができないという大きな欠点があるため、外壁の補修には絶対に使用しないでください。

塗料を弾いてしまい、補修箇所だけ色が乗らず、まだら模様になってしまいます。

その他の補修材

コーキング材以外にも、以下のような補修材があります。

  • 樹脂モルタル: セメントに樹脂を配合した補修材。硬く、強度が高い仕上がりになります。モルタルが欠けている部分の補修や、広い範囲の補修に適しています。
  • スプレー式補修材: ひび割れに直接スプレーするだけで補修できる手軽なタイプ。ごく細いヘアクラックを一時的に塞ぐのに便利ですが、耐久性はあまり期待できません。

補修材を選ぶ際は、製品のパッケージに書かれている用途や特徴をよく読み、自分の目的に合ったものを選びましょう。

わからない場合は、ホームセンターの店員さんに相談してみるのも良い方法です。

 

補修効果を高めるプライマーの重要性

モルタルのひび割れをdiy補修する際、ついコーキング材などの充填剤にばかり目が行きがちですが、実はそれと同じくらい、あるいはそれ以上に重要な役割を果たすのが「プライマー」です。

プライマーは、補修材を充填する前にひび割れの内部や周辺に塗布する下塗り材のことで、地味な存在ながら、補修の耐久性を大きく左右する縁の下の力持ちと言えます。

プライマーの役割とは?

プライマーには、主に2つの重要な役割があります。

1. 接着力の向上

モルタルの表面は、目には見えなくても細かな粉塵が付着していたり、素材自体がもろくなっていたりすることがあります。

このような状態のままコーキング材を充填しても、下地としっかり密着せず、すぐに剥がれてしまう原因となります。

プライマーを塗布することで、劣化した下地の表面を固め、次に充填するコーキング材がガッチリと食いつくための「接着剤」のような役割を果たします。

これにより、補修箇所が長期間にわたって剥がれるのを防ぐことができるのです。

2. 下地への吸い込み防止

モルタルは多孔質(たくさんの小さな穴が開いている)な素材であり、コーキング材に含まれる可塑剤(柔軟性を保つための成分)を吸い込んでしまう性質があります。

可塑剤が下地に吸い取られてしまうと、コーキング材本来の弾力性が失われ、硬化してひび割れやすくなってしまいます。

プライマーを塗布することで、下地の表面に薄い膜を作り、可塑剤が吸い込まれるのを防ぐバリアの役割を果たします。

これにより、コーキング材は長期間にわたって柔軟性を維持し、建物の動きに追従することができるようになるのです。

プライマーの選び方と使い方

プライマーは、使用するコーキング材とセットで選ぶのが基本です。

コーキング材のメーカーは、その製品に最も適したプライマーを推奨しています。

変成シリコン系のコーキング材には変成シリコン用のプライマー、ウレタン系のコーキング材にはウレタン用のプライマーというように、必ず適合するものを使用してください。

異なる種類のものを組み合わせると、本来の性能が発揮できないばかりか、硬化不良などのトラブルを引き起こす可能性があります。

使い方は、まず清掃が終わったひび割れ部分に、ハケを使って塗りムラがないように丁寧に塗布します。

このとき、ひび割れの内部までしっかりとプライマーが届くように塗ることがポイントです。

プライマー塗布後は、製品に記載されている乾燥時間を必ず守り、プライマーが完全に乾いてから次のコーキング材充填の工程に進みます。

「面倒だから」とプライマーの工程を省略してしまうと、せっかくの補修が早期にダメになってしまう可能性が非常に高くなります。

モルタルのひび割れをdiy補修する際には、必ずプライマーを使用することを強くお勧めします。

この一手間が、補修の寿命を格段に延ばすことにつながるでしょう。

 

正しいひび割れ補修の具体的な手順

道具と材料が揃い、それぞれの役割を理解したら、いよいよ実践です。

モルタルのひび割れをdiy補修する作業は、正しい手順に沿って丁寧に行うことが成功の鍵となります。

焦らず、一つ一つの工程を確実に行っていきましょう。

ここでは、コーキング材を使った最も一般的な補修方法を、ステップごとに詳しく解説します。

  1. 清掃(ケレン作業)
    まず、ひび割れ部分とその周辺の汚れを徹底的に除去します。ワイヤーブラシや皮スキを使って、ひび割れ内部のゴミやホコリ、剥がれかけた古い塗膜、もろくなったモルタルなどをしっかりと掻き出してください。この作業を「ケレン」と呼び、補修材の密着性を高めるために非常に重要です。ケレンが終わったら、ハケやブラシで削りカスをきれいに払い落とします。
  2. 養生
    補修箇所の両脇に、ひび割れに沿ってマスキングテープを貼ります。テープを貼ることで、コーキング材がはみ出して周囲を汚すのを防ぎ、仕上がりのラインがまっすぐできれいになります。また、作業箇所の下には、コーキング材が垂れてもいいように養生シートや新聞紙を敷いておきましょう。
  3. プライマー塗布
    清掃したひび割れ部分に、ハケを使ってプライマーを塗布します。ひび割れの奥までしっかりと染み込ませるように、丁寧に塗り込んでください。塗り終わったら、製品に記載されている乾燥時間を守り、完全に乾くまで待ちます。プライマーが乾く前に次の工程に進むと、接着不良の原因になるため注意が必要です。
  4. コーキング材の充填
    コーキングガンにコーキング材のカートリッジをセットし、先端のノズルをひび割れの幅に合わせて斜めにカットします。ひび割れの奥から空気を押し出すように、一定の速度で、たっぷりとコーキング材を充填していきます。ひび割れの表面から少し盛り上がるくらいが目安です。
  5. ヘラでならす
    コーキング材を充填したら、すぐにヘラを使って表面をならします。ひび割れにコーキング材を押し込み、内部に隙間ができないように圧着させながら、余分なコーキング材を取り除き、表面を平滑に仕上げます。ヘラは、進行方向に対して少し斜めに傾けながら、一定の力で一気に引くのがコツです。
  6. マスキングテープを剥がす
    ヘラでならし終えたら、コーキング材が硬化する前に、すぐにマスキングテープを剥がします。時間が経ってから剥がすと、コーキング材の表面にできた膜が一緒に剥がれてしまい、仕上がりが汚くなってしまいます。
  7. 乾燥・硬化
    補修作業が終わったら、コーキング材が完全に硬化するまで待ちます。硬化時間は製品や季節、天候によって異なりますが、最低でも24時間以上は触ったり、水がかかったりしないように注意してください。
  8. 塗装(必要な場合)
    補修箇所が完全に硬化したら、必要に応じて周囲の色に合わせて塗装を行います。塗装することで、補修跡が目立たなくなり、さらにコーキング材を紫外線から保護する効果も期待できます。

特に重要なのは、最初の「清掃」と「プライマー塗布」です。

この下地処理をどれだけ丁寧に行うかで、補修の耐久性が決まると言っても過言ではありません。

この手順を守ることで、DIYでもプロに近いきれいな仕上がりと、長持ちする補修を実現できるでしょう。

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チョーキング現象が見られる場合の注意点

モルタルのひび割れをdiy補修しようと壁を触ったとき、手に白い粉のようなものが付着した経験はありませんか。

この現象は「チョーキング(白亜化現象)」と呼ばれ、外壁の塗装が劣化していることを示す重要なサインです。

もし補修したいひび割れの周辺でチョーキング現象が起きている場合、補修作業の前に特別な注意が必要となります。

チョーキング現象とは?

チョーキング現象は、外壁の塗料に含まれる顔料が、長年の紫外線や雨風の影響で分解され、粉状になって塗膜の表面に現れる現象です。

塗料は本来、樹脂によって顔料をコーティングし、壁に固定する役割を果たしています。

しかし、経年劣化によってその樹脂が失われると、顔料がチョークの粉のように浮き出てきてしまうのです。

つまり、チョーキングが起きているということは、塗膜の防水機能や保護機能が著しく低下している状態を意味します。

これは、外壁塗装の塗り替え時期が来ていることを知らせる、分かりやすい目安の一つと言えるでしょう。

チョーキングを放置して補修するリスク

チョーキングで発生した粉が付着したままの状態で、その上からひび割れ補修を行うと、どうなるでしょうか。

結果は明白です。

プライマーやコーキング材が、壁の本体ではなく、不安定なチョーキングの粉の層に付着することになります。

これでは、いくら高性能な補修材を使っても、本来の接着力を発揮することはできません。

補修直後はくっついているように見えても、すぐに粉の層ごと剥がれてしまう可能性が非常に高いでしょう。

せっかく手間をかけて補修しても、すぐにやり直しになってしまっては意味がありません。

チョーキング現象が見られる場合は、通常の清掃以上に、この粉を徹底的に除去する作業が不可欠です。

チョーキングの正しい対処法

チョーキングの粉を除去するには、高圧洗浄機を使用するのが最も効果的です。

高圧の水流で、劣化した塗膜や粉をきれいに洗い流すことができます。

しかし、DIYで高圧洗浄機を用意するのは大変ですし、水圧が強すぎるとモルタル自体を傷めてしまう危険もあります。

DIYの範囲で行う場合は、硬めのブラシやタワシを使い、水で洗い流しながら壁面を丁寧に擦り、チョーキングの粉をできる限り落とすようにしましょう。

洗浄後は、壁が完全に乾燥するまで、少なくとも24時間以上は待つ必要があります。

壁面を指で触ってみて、白い粉が付かなくなれば、下地処理は完了です。

この状態になってから、ようやくプライマーの塗布、コーキング材の充填といった補修工程に進むことができます。

もし、チョーキングが外壁全体に及んでいる場合は、ひび割れの部分的な補修だけでは根本的な解決にはなりません。

外壁全体の塗装が寿命を迎えているサインですので、専門の塗装業者に相談し、外壁塗装を検討することをお勧めします。

 

まとめ:正しい知識でモルタルのひび割れをdiy補修しよう

この記事では、モルタルのひび割れをdiy補修するために必要な知識を、原因の特定から具体的な手順まで網羅的に解説してきました。

外壁のひび割れは、見た目の問題だけでなく、放置すれば建物の寿命を縮める深刻な問題に発展する可能性があります。

しかし、ひび割れの種類と状態を正しく見極め、適切な手順で対処すれば、ご自身の手で大切な住まいを守ることも可能です。

まず最も重要なことは、目の前のひび割れがDIYで補修できる範囲のものか、それとも専門業者に依頼すべき危険なものかを見極めることです。

幅が0.3mm以下のヘアクラックであれば、今回ご紹介した手順で補修に挑戦してみる価値は十分にあります。

一方で、幅が広く深い構造クラックや、雨漏りを伴うひび割れの場合は、迷わず専門家の診断を仰いでください。

モルタルのひび割れをdiy補修する際には、下地処理が成功の9割を占めると言っても過言ではありません。

ひび割れ内部の清掃を徹底し、補修材と下地を強力に接着させるプライマーを必ず使用することが、長持ちする補修の秘訣です。

また、作業の安全を確保するための保護具の着用も絶対に忘れないでください。

正しい知識と準備があれば、モルタルのひび割れをdiy補修することは、決して難しい作業ではありません。

むしろ、自分の手で家をメンテナンスすることは、住まいへの理解を深め、より一層の愛着を感じる素晴らしい機会となるでしょう。

この記事が、皆さんの大切な住まいを守るための一助となれば幸いです。

ひび割れの状態をしっかりと観察し、ご自身に合った最適な方法で、適切なメンテナンスを行ってください。

 

記事のまとめ

  • モルタルのひび割れは放置すると雨漏りや構造劣化のリスクがある
  • ひび割れの主な原因は乾燥収縮や経年劣化
  • 幅0.3mm以下のヘアクラックはDIYで補修可能な場合が多い
  • 幅0.3mm以上の構造クラックは専門業者への相談が必須
  • DIYにはワイヤーブラシやコーキングガンなどの道具が必要
  • 安全のため保護メガネや防塵マスクは必ず着用する
  • 外壁補修には上から塗装できる変成シリコン系コーキング材が最適
  • 補修材の密着性を高めるプライマーの使用は不可欠
  • 補修手順は「清掃」「養生」「プライマー塗布」「充填」「ならし」の順
  • 下地処理である清掃とプライマー塗布が最も重要な工程
  • 壁に白い粉が付くチョーキング現象は劣化のサイン
  • チョーキングがある場合は粉を完全に除去してから補修する
  • 業者に依頼する場合の費用は補修方法や範囲によって変動する
  • 複数の業者から相見積もりを取ることが費用を抑えるポイント
  • 正しい知識を持つことでモルタルのひび割れをdiy補修することは可能